著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

米国のアマスポーツにも存在する「ゆがんだ勝利至上主義」

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 大部分の保護者は、我が子がより良い環境で競技できることを願ってさまざまな役割を担っている。しかしながら、子供のスポーツに熱心に取り組みすぎることで、練習の内容、試合での作戦や選手の起用法、自分の子供の扱いについてボランティアのコーチに不満や苦情を言い、さらには、やはりボランティアである審判の判定に不服を抱いて暴行を加える事例が発生している。

 特に近年増加の傾向を示しているのが、ボランティアの審判が、コーチや保護者から受ける被害の件数だ。

 例えば、イリノイ州にあるイリノイ・アマチュア・ホッケー連盟(AHAI)には毎年1300人程度のアマチュア審判が登録し、州内で行われる年間約3万2000試合で審判を務めている。

 だが、ここ数年で判定に不服を持った保護者が苦情を訴えたり審判に暴行を加える事例が後を絶たず、17―18年のシーズンに審判としてAHAIに登録した者の数は、前年に比べて約10%減少している。

 AHAI会長のジョン・ダンは「審判に寄せられる苦情の60%は見当外れの内容だ」と、コーチや保護者たちの態度を批判するものの、「アマチュアの審判は信用できない」という声は根強いのが実情だ。

 米国では、小学生などが利用する運動場などに「TheUmpiresAreHuman.」(審判は人間だ)という掲示を出す施設が増えている。

 勝利のためなら審判に危害を加えることもいとわない「ゆがんだ勝利至上主義」の根は深いのである。

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