著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

浅村の中に垣間見えた「とてつもない自信」が気になった

公開日: 更新日:

 よって、浅村の行為は理にかなっているともいえるのだが、一方でプロ野球選手が個人事業主であることを考えると、同じくフリーの身の私なんかは、浅村の中に垣間見える“将来的な自信”みたいなものが気になってしまう。現在28歳の浅村は確かにプロ野球選手として絶頂期にいるわけだが、その引く手あまたの状態が5年後も続いているという保証はない。もっと先を考えると、引退後のキャリアまで安泰だとは限らない。過去を振り返っても、栄華を極めた名選手がその人生の先で思わぬ落とし穴にはまり、野球人として下り坂になってしまった、というケースは多くある。

 そう考えると、オリックスを門前払いした浅村は、いくら今が絶頂期とはいえ、とてつもない自信の持ち主だ。今回のことで、将来(引退後も含めて)、もしも浅村が野球人として落ち目になったとしても、おそらくオリックスは救いの手を差し伸べないだろう。たった12球団しかないNPBにおいて、貴重な1球団をあからさまに袖にするなんて、なかなかできることではない。将来、自分は絶対に野球仕事を乞う側にはならない。なんでもいいからNPB球団に関わりたいと切望する側にはならない。そんな自信が浅村にあるとしたら、それはいったいどこから来るのだろうか。

 これは個人事業主全般にいえることだが、浮沈の「沈」に陥ったときこそ、結局は人間の情が物を言う。そして、その沈む側になる可能性は誰であってもゼロではない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  2. 2

    福山雅治「ラストマン」好調維持も懸案は“髪形”か…《さすがに老けた?》のからくり

  3. 3

    夏の甲子園V候補はなぜ早々と散ったのか...1年通じた過密日程 識者は「春季大会廃止」に言及

  4. 4

    参政党・神谷宗幣代表 にじむ旧統一教会への共鳴…「文化的マルクス主義」に強いこだわり

  5. 5

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  1. 6

    福山雅治、石橋貴明…フジ飲み会問題で匿名有力者が暴かれる中、注目される「スイートルームの会」“タレントU氏”は誰だ?

  2. 7

    広陵問題をSNSの弊害にすり替えやっぱり大炎上…高野連&朝日新聞の「おま言う」案件

  3. 8

    桑田真澄が「KKドラフト」3日後に早大受験で上京→土壇場で“翻意”の裏側

  4. 9

    参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?

  5. 10

    「時代に挑んだ男」加納典明(38)同年代のライバル「篠山紀信と荒木経惟、どっちも俺は認めている」