鈴村裕輔
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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

メジャー在籍70人以上…ベネズエラの政情不安が米球界直撃

公開日: 更新日:

 こうした状況は、球界に直接の影響を与えている。

 最初に影響を受けたのは、毎年2月に行われているカリビアンシリーズだ。1949年に始まったカリビアンシリーズは参加する国と地域のウインターリーグを勝ち抜いた球団が中南米球界の覇権を巡って争う、ラテンアメリカの球界にとって最大の催事だ。

 だが、大リーグ機構はベネズエラの政情の不安定化とマドゥロ政権による米国との断交宣言により、米国籍の選手や球団職員を含む関係者の安全が保障できないと判断して、ベネズエラへの渡航の自粛を強く要請している。

 実際、ベネズエラはハイパーインフレーションに見舞われ、昨夏に通貨呼称単位の変更を行って急場をしのがざるを得ないほど経済状況が悪化している。マドゥロ政権の経済運営の失敗が社会不安を増幅させ、今回の政争に発展しているのだから、今後もベネズエラの状況が直ちに好転することはないだろう。

 しかも、米国がマドゥロ政権の転覆のために軍事介入すれば選手や球団職員といった民間人であっても犠牲になる可能性も皆無ではない。米国との対立が長期化すれば、ベネズエラから米国への選手の渡航が禁止されることさえある。

 2018年の開幕戦の時点で74人。ドミニカに続いて2番目に多くの外国籍の選手が在籍していたベネズエラが消えれば、2019年の米国の球界はかつてなく大きな衝撃を受けることになるのだ。

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