著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

楽天則本が7年契約 功労者の価値は“時価”だけでは語れない

公開日: 更新日:

 他球団に目を向けると、ソフトバンクの主砲・松中信彦(当時32歳)が06年から結んだ7年契約が思い出深い。その頃の松中といえば、04年に平成唯一の三冠王に輝き、05年にも本塁打と打点の2冠を獲得したバリバリの全盛期。誰もが日本球界屈指の打者であると認めて疑わない時期であったが、この長期契約を結んで以降はどういうわけか故障がちとなり、何度も手術をしてはリハビリに日々を費やすガラスの大打者となってしまった。結局、松中の往年の打棒は二度と復活することなく、15年限りでまさかの2000安打未到達のまま引退した。

 もっとも、だからといって則本の長期契約も同じく失敗に終わるという仮説が立証されるわけではない。先述の鳥谷や松中と違って則本は投手であり、さらに現在28歳とまだまだ若い。長期契約の新たな成功例となる可能性は十分にある。

 また、3月に手術を受けたということは、楽天球団は彼の肘の故障を知った上で長期契約に踏み切ったということだろう。正直、勇気のいる契約だと思う。則本が確実に復活するという保証はどこにもないが、球団としてはそれでもいい、それでも球団に残したい人材だと認識しているということではないか。

 これ、プロ野球選手としてだけでなく、人間としてもありがたい契約だろう。功労者たるエースの価値は時価だけで語れない。そういう考え方の表れのようにも思う。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋