U18台湾代表の陳柏毓と李晨薰巡り 巨人がメジャーと争奪戦

公開日: 更新日:

 8日に閉幕したU18W杯(韓国・機張)。その予選ラウンド、メジャー30球団のスカウトが陣取るネット裏に、今年5月1日付で就任した巨人の春川正明編成本部次長兼国際部長(58)の姿があった。

 大森剛国際部課長とともに視察に訪れた春川部長は、テレビ情報番組のコメンテーターなどで活躍。語学堪能で、野球への造詣が深く、読売テレビの報道局解説委員長から、異例の転身といわれた。その春川部長の視線の先には、台湾チームの2年生右腕・陳柏毓(188センチ、90キロ)がいた。

 8月30日、日本代表がスペインとの開幕戦を戦うのと同時進行でパナマ戦に先発した陳は、6回1失点と好投した。最速151キロを誇る逸材で、メジャーも大きな関心を寄せている。U18では3試合に登板(先発2、抑え1)、2勝1Sの成績で世界一に貢献。大会後には「米国と日本のプロ野球に興味があります」と答えた。

 春川部長にこの陳の印象について尋ねると、「悪くないと思いますよ」と具体的な言及は避けたが、「いい選手がいれば、世界中から欲しいですね」とキッパリと言った。

 巨人は、佐々木(大船渡)や奥川(星稜)ら今秋ドラフト候補の視察目的で長谷川スカウト部長ら2人のスカウトが韓国を訪れていたが、彼らとは別に国際担当も、世界の逸材をチェックした。日本のプロ球団の渉外担当が高校生の国際大会を視察するのはレアケース。新任である春川部長の渡韓は、各国の野球関係者への挨拶目的もあっただろうが、古くは呂明賜ら台湾から多くの選手を獲得してきた巨人が、メジャーさえも注目する逸材を指をくわえて見ているはずもない。

「巨人はかねて、この陳だけでなく、台湾の大谷翔平といわれ、同じくメジャーが熱視線を送る2年生の最速153キロ右腕の李晨薰(198センチ、87キロ)を調査していると聞いています」

 とは、代理人筋だ。

 李は今大会、故障を抱えていたため登板できなかったものの、高校1年生になったばかりの2017年12月、根尾(現中日)、藤原(現ロッテ)ら大阪桐蔭を中心とする大阪府選抜チーム相手に、6回3分の2を無失点に抑える好投を見せ、日本のスカウトに強烈なインパクトを残した。

■米球界よりも条件面は有利

「15歳の時点で最速148キロをマーク。その後も順調に成長を遂げ、今は153キロに達する。複数のメジャー球団が獲得調査を継続している。巨人も早い段階からこの李をリストアップ。水面下では、代理人に接触しているという話も漏れ伝わってきます。条件面を見れば、25歳以下の海外選手とマイナー契約しか結べない米球界より、契約金、年俸に上限がない日本球界の巨人の方が有利でしょう」(台湾メディア関係者)

 台湾は逸材の宝庫であると同時に、球団経営においても重要なマーケットになっている。

 巨人は、父親が台湾出身の王貞治(現ソフトバンク球団会長)がプレーしていた昔から、台湾との縁が深い。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?