山田隆道
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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

入会資格に特例枠…名球会は数字至上主義でいてほしかった

公開日: 更新日:

 また、そんな偏重的ともいえる名球会の数字至上主義は、他方で「野球殿堂」という別種の権威的な表彰があるからこそ有益に機能していた。ご存じ野球殿堂は記者投票で決まるため、時として数字以外の曖昧な要素によって左右されることがある。通算1427安打の田宮謙次郎や通算49勝90Sの津田恒実が殿堂入りしている一方で、2000安打以上を記録しても殿堂入りを逃し続けている大打者も少なくない(土井正博、加藤英司ら)。記者投票とはつまり選挙みたいなものだから、個人の好き嫌いはもちろん、さまざまな政治的要素も絡んでくるだろう。実際、有力OBの中には記者からの票欲しさに、いわゆるロビー活動に精を出す、まさに政治家肌もいるという。

■忖度、主観、上下関係

 そんな恣意的な野球殿堂が今後もあることを考えると、他方の名球会にはシビアな数字至上主義を徹底的に貫いてほしかった。ただし、もちろん時代に合わせて入会資格を変えることは妥当だから、ならば協議などといった忖度や主観が入り込みやすい制度ではなく、たとえば100勝&100Sや2000投球回、1500安打&300本塁打、400盗塁など、数字としての基準項目を増やすことで決着してほしかった。シビアさは担保してほしかった。

 しかし、現実は協議という曖昧な制度が導入されることとなった。これによって、名球会会員のお気に入りの後輩らといった、人たらし的な選手のほうが入会しやすくなるのではないか。野球界特有の旧弊じみた上下関係が如実に表面化しそうな決定事項だ。

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