G戸郷 高校時代にその名を轟かせた遠投大会117mの鉄砲肩

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恩師が語る最大の強み

 都城市立妻ケ丘中学時代は、投手として出場した1年生大会で優勝。強豪校のスカウトから注目されるようになる。

 進学先として選んだのは、自宅から100キロ以上離れた宮崎県北部の延岡市にある聖心ウルスラ学園高。ここで寮生活を送った。

 入学当時の身長はすでに182センチ。1年の冬には宮崎県の県北高校野球競技力大会の遠投部門で117メートルを投げて優勝するほどの強肩を誇った。2年夏は同高を12年ぶり2度目の甲子園に導き、その名を全国へ轟かせたが、課題もあった。

 投手指導を担当する近藤洋次部長はこう語る。

「体の線が細く、なかなか太らないんです。戸郷の増量に合わせて練習を組んだり食トレもしましたが、あまり成果は出ませんでした。ですが、昨オフに久々に会ったら尻にも筋肉が付いて、確かな変化を感じましたね。山口俊選手(現ブルージェイズ)と自主トレをご一緒したと聞きましたが、食事は昼も夜も大量の肉を食べるみたいで、相当にハードだったようです。その成果で食事の量が大幅に増えていたことには驚きました」

 力士の父を持つ大食漢の山口と食事を共にすることで体重は5キロ増え、現在は78キロになった。バレーボール選手だった母の血を引き継いだリーチの長い右腕から繰り出される最高球速154キロのストレート。独学で身に付けたスライダーをはじめとした多彩な変化球が武器だ。さらに、山口から秘伝のフォークボールを伝授され、「山口さんの穴は自分が埋める」と宣言して今季に臨んでいる。

 聖心ウルスラ学園の小田原斉監督は「今までケガと言うほどのケガをしたことがないので、そこが彼の最大の強みだと思います」と体の強さに太鼓判を押す。

■特殊な軌道のフォーク

 右肘を伸ばしたまま腕を振るアーム式投法。

 巨人OBで元投手コーチの中村稔氏(評論家)がこう言う。

「角度があって腕の振りがいい。直球に威力があり、フォークなど変化球も腕の振りが同じ。しなりがあるから、ボールにキレがあるというか、スピンが利いている。そして、左足を踏み出した後に遅れて腕が出てくるのが特徴。球持ちがいいから、打者がタイミングを取りにくそうにしていますね。球の出どころが丸見えなのは気になりますが、いずれこれが修正できれば、さらに勝てる投手になると思います」

 ライバルのセ球団のスコアラーはこう分析している。

「スリークオーター気味の腕の位置から変化球は、フォークとスライダーが2種類ずつ。これがいいんです。スライダーは縦と横。フォークも縦に落ちるものとシュートしながら落ちるシンカー系のものがある。フォークは投げ分けているわけじゃないんじゃないか。どこに落ちるか分からない不規則なフォーク。これがストライクゾーンにくるから厄介なんです。去年まで巨人にいた山口俊も、腕を少し下げたところからシンカー系の軌道のフォークを多投して勝ち星を稼いだでしょう。その山口のフォークよりも戸郷の方が落差が大きい。他球団もあの特殊球にやられていますね」

 破竹の勢いは止まらない。

【連載】プロ野球2020年 躍進若手の正体

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