著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

全仏はクレーコート…錦織に懸念される心身のスタミナ不足

公開日: 更新日:

 復帰後の最大のテーマは自信の回復だ。テニスはベースライン、サイドラインぎりぎりにいかに強いショットを打ち込むかがカギ。これまで日本選手が世界で勝てなかった一因に学校テニスが挙げられる。団体戦では、ライン際に勝負球をぶち込むことよりとにかく返す安全策を叩き込まれ、その習慣が海外では通用しないのだ。米国育ちの錦織にそのトラウマはなく、左右に打ち分ける技術もセンスもある。時間の問題ともいえるが、気になることがある。

 ネットプレー、サーブ&ボレーの多用が指摘される。だが、錦織はビッグサーバーではなく、むしろラリーを操る多彩なショットメーカーで、ネットプレーはこれまでも取り入れていた。復帰後はネットに出るより、出させられている印象で、その理由としてスタミナ低下が考えられる。

■持続する闘争心

 ローマでムゼッティに敗れた試合では、強烈なスピンに押され、必死に切り返しては若い脚力のカウンターを浴びた。

 長いラリーの主導権を握れず、ハンブルクの第1セットは0―6、第2セットには40―15から一気に連続4ポイントを奪われてブレークされる場面もあった。

 暮れには31歳で、もともと体力はないが、問題はメンタル。全仏は5セットマッチの長丁場だ。

 諦めない、切れない、持続する闘争心を、このパリで取り戻し来季へつなげる――ミルニー新コーチの仕事はサーブ&ボレーの伝授などではない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・田中将大「巨大不良債権化」という現実…阿部監督の“ちぐはぐ指令”に二軍首脳陣から大ヒンシュク

  2. 2

    ヘイトスピーチの見本市と化した参院選の異様…横行する排外主義にアムネスティが警鐘

  3. 3

    国民民主党「新人都議」に渦巻く“スピリチュアル疑惑”…またも露呈した候補者選定のユルユルぶり

  4. 4

    巨人・田中将大を復活させる「使い方」…先発ローテの6番目、若手と併用なんてもってのほか

  5. 5

    「時代に挑んだ男」加納典明(25)中学2年で初体験、行為を終えて感じたのは腹立ちと嫌悪だった

  1. 6

    高橋真麻がフジ港浩一前社長、大多亮元専務を擁護の赤っ恥…容姿端麗な女性集めた“港会”の実態知らず?

  2. 7

    参院選「自民裏金議員15人」で当確5人だけの衝撃情勢…比例は組織票があっても狭き門

  3. 8

    ドジャースが欲しがる投手・大谷翔平の「ケツ拭き要員」…リリーフ陣の負担量はメジャー最悪

  4. 9

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  5. 10

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?