ロッテ佐々木 実戦登板0なのにフォーム改造の「落とし穴」

公開日: 更新日:

 それは、キャンプインを目前に控えた1月下旬のことだった。

 石垣島に先乗りしていた佐々木朗希(19)のブルペン投球のビデオを見たロッテのスカウトは仰天したという。

「佐々木の投球フォームが、昨年までとガラリと変わっていたというのです」と、さる放送関係者がこう続ける。

「これまで以上に体を大きく使いたいのか、テークバックがかなり大きくなったようです。そのスカウトは明らかに投げ方が変わっていたので、腰を抜かすくらいビックリしたと聞きました」

■高校時代の投げ方が秀逸

 スカウトの目が点になったのも無理はない。

 佐々木は岩手の大船渡高時代に163キロをマーク。2019年のドラフトではロッテも含めた4球団の入札が競合した大物右腕だ。

 スカウトたちは何度も現場に足を運び、当時の佐々木の投球フォームや体の使い方を秀逸だと判断したからこその高評価だった。

 プロで何年かやってうまくいかないというならまだしも、佐々木は公式戦はおろか実戦でまだ1球も投げていない。なのに投球フォームに自らメスを入れたことに、スカウトは驚いたのだろう。

■肘の故障防止

「一昨年は防御率、昨年は最多奪三振のタイトルを獲得したオリックス山本由伸(22)を意識しているようです」と、マスコミ関係者がこう言った。

「山本はやり投げを参考にした投球フォームを実践していて、トレーニングでは、やりのような棒を繰り返し投げている。佐々木も石垣島に先乗りしていた自主トレでは、棒状の器具を何度も投げていましたからね」

 やり投げ投法を取り入れた最大の理由は故障防止だという。ロッテOBの話。

「山本はやり投げ投法の利点を疲れにくく、肘に負担のかからないことだと説明しています。佐々木は故障に関して、異常なくらいナーバス。昨年のシーズン中、あと少しで実戦登板という段階までは何度もこぎ着けています。ブルペンでは150キロを超すストレートを軽々と投げ込むのですが、実戦形式の練習に入ろうとすると肩や肘に張りが出る。周囲がストップをかける前に、自らブレーキを踏むケースが多かったそうです。肘の靱帯に部分的な断裂や傷がある投手がほとんどのプロ野球界で、佐々木の靱帯は傷ひとつないと聞きました。佐々木は岩手の県立高出身で、私学の野球学校で揉まれたわけではない。あるいは、これ以上、ムリをしたら故障するという感覚をつかめていないのかもしれません。とにかく故障に対する恐怖心はハンパじゃありませんから」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 4

    マエケンは「田中将大を反面教師に」…巨人とヤクルトを蹴って楽天入りの深層

  5. 5

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  1. 6

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  2. 7

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  3. 8

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  4. 9

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  5. 10

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較