松山の恩人が明かす中学時代 野菜嫌い克服し回転寿司50皿

公開日: 更新日:

 松山英樹(29)は、愛媛県松山市で生まれた。

 4歳のころにゴルフを始め、小学生時代には早くも県内でよく知られる存在になった。

「小学3年のころに四国ジュニアの大会で初めて松山を見たとき、目がキラキラ輝いていた。よっぽどゴルフが好きなんだなと印象的で、『将来はウチに来い』なんて冗談で言ったのを昨日のことのように覚えています」と振り返るのは、母校である明徳義塾中・高ゴルフ部の高橋章夫総監督だ。

 松山は地元の公立中へ進んだが、両親の仕事の都合で転校することになり、父・幹男さんと高橋監督が知り合いだったことから、中学2年生になるタイミングで明徳義塾中に編入。親元を離れて寮生活が始まった。

■週末は毎週後輩宅へ

 中学時代の松山をよく知るのは、高知県で自動車関係の仕事を夫婦で営む山本志穂美さんだ。現在はサッカークラブ・高知ユナイテッドSCの取締役を務め、アスリートフードマイスターの資格を生かし、同クラブの寮母も兼ねている。山本さんの息子・健斗さんは明徳義塾中で松山の1学年下のゴルフ部員だった。松山と入部した年が同じという縁で2人は親しくなり、「ある日、息子が『大好きな先輩がいるから、連れてきてもいい?』と、我が家に紹介してくれたのが、英樹でした」と、山本さんは言う。

 山本さんは二十数年前、服用した抗生物質が原因でアナフィラキシーショックを起こし、心肺停止状態に。以来、食品からも発作が起こりやすい体質になったことで食材を研究し、当時から料理の腕を磨いていたという。

「明徳義塾は週末は家に帰れるので、英樹は中学時代まで毎週のようにウチに遊びに来て、泊まったりもしてくれていました。最初はあまり好きではなかった野菜も、栄養の吸収率や野菜の作用を教えると、納得したのか、『うめえ』って言いながら食べるようになったんです」(山本さん)

「もう一回計算する」

 時には外食にも連れて行った。山本家では回転寿司で食事をしたとき、子供は積んだ皿から自分の食べた金額を計算することになっていた。ズバリ当たれば、褒美に1000円から2000円の賞金も出したそうだ。100円均一の店ならば計算は容易なものの、「アスリートの体には食事が大切」と、よりネタが充実し、皿によって金額の異なる店で食事をした。

「(計算させるのは)スポーツだけではなく、頭も使わないといけませんから(笑い)。それにしても、驚くような皿の量でした。英樹は50皿は食べていたから計算も大変で。勝負事になると目の色を変えて取り組むので、『もうちょっと待って』『もう一回計算する』と、何度も何度も数え直していました。かなりの負けず嫌いだったなと今でもよく覚えています」(山本さん)

 松山はもちろん、山本家でただ食べていただけではない。明徳義塾の寮生活では朝礼や夕礼、夜間自習もあり、練習時間には限りがあった。だからこそ、時間のとれる週末になると、より一層ゴルフに打ち込んだ。

「練習しないと不安になるのか、ウチの庭でいつもクラブを振っていました。英樹が来るようになってから、我が家の庭に専用のネットを備え付けたほどです(笑い)。だから良い音がずっと響いていましたよ。他にも、『思う存分に練習してこい』と、主人が打ち放題に行かせたり、ゴルフ場に連れて行ったりもしました。人見知りというか、シャイな面もあったので、知らないオジサンから『よく飛ぶね』と話しかけられても、ぎこちない態度だったそうです(笑い)」(山本さん)

 実の家族のように接するうちに、山本さんが「それを達成できたら、ウチの店にある好きな車を1台プレゼントするよ」と約束したのは、とある週末のことだった。

【連載】マスターズ制覇 松山英樹「現在・過去・未来」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • ゴルフのアクセスランキング

  1. 1

    問題理事は軽い処分、小林浩美会長は無傷のバカらしさ…露呈した女子プロ協会の“身内びいき”と責任放棄

  2. 2

    国内女子「中堅クラス」の不甲斐なさ…トップ5の4人が消えプロ1、2年生の時代がやってくる

  3. 3

    前代未聞の壮絶不倫・当事者のひとりがまたも“謎の欠場”…関係者が語った「心配な変化」とは???

  4. 4

    “下半身醜聞”で出遅れ川﨑春花も狙える「全英女子への道」…出場権獲得条件は3通り

  5. 5

    女子プロ下半身醜聞“3股不倫”男性キャディーは「廃業」へ…9年の出禁処分が与える致命的ダメージ

  1. 6

    蝉川泰果が「海を渡る日」…史上最年少で国内メジャー3冠達成、松山英樹の後釜に名乗り

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

  4. 9

    川﨑春花が2位発進「気持ちよく…」下半身醜聞を吹き飛ばす今季初優勝なるか

  5. 10

    下半身醜聞・小林夢果の「剛毛すぎる強心臓」…渦中にいながら師匠譲りの強メンタルで上位浮上

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?