登山家・野口健氏が警鐘「今の五輪強行ムードは登山なら完全に遭難するパターン」

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野口健(登山家/環境活動家)

 この状況でなぜ五輪を開催するのか、それが全く伝わってこない。どうしても五輪をやりたいなら、国民には想定されるリスクを正直に伝えるべき。リスクと開催意義を天秤にかけたうえで、「これくらいのリスクを背負ってでもやる意義がある」ということを明確にすればいい。僕が政治家なら、まず開催のメリットとデメリットを洗い出してそれをはっきり伝えます。

 1964年の東京五輪は戦後復興のシンボルという意味が強かった。新幹線ができたり、いろいろな施設ができたり、突貫工事で事故や過労死で亡くなった方もたくさんいた。それでも当時は、ある程度の犠牲なら五輪をやるんだと、ブレがなかった。今回の東京五輪も、コロナによってかなり忘れられているけど、元を辿れば震災復興がテーマだった。今やすっかりそのイメージは吹き飛び、政府は「人類がコロナに打ち勝った証として(五輪を)実現する」と繰り返すようになりました。

 何度も「コロナに打ち勝った証」と言うが、打ち勝てなければ五輪を中止するという意味なのか。政治家の発言には意図がなければいけない。あれだけ連呼して強調するからには、コロナが収束せず、打ち勝てなかった場合は中止や延期を決断するんだと思っていました。ところが、そこには何も意図がなかった、何も考えていなかった。それなのに(ある自民党議員が)「五輪が始まれば日本国民は盛り上がる」とか、それは確かにそうかもしれないけど、あなた達が言っちゃダメだよと。国民はそこまでバカじゃない。

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