登山家・野口健氏が警鐘「今の五輪強行ムードは登山なら完全に遭難するパターン」

公開日: 更新日:

(登山家の)植村直己さんは「私は人一倍臆病者です」と公言してきた。しかし、スポンサーが降りたり支援が減って追い詰められている背景がある中、マッキンリーという山に悪天候にも関わらず突っ込んで亡くなられました。遭難前日、彼が日記に書いた最後の一文が「何が何でもマッキンレー、登るぞ」。

 だから、五輪に「何が何でも」突っ込んでいくのが本当にいいのか。なぜ突き進むのか考えたとき、日本人は引くのが苦手なのかと思いました。来年の冬季五輪は北京。日本がやめて中国が成功したら「日本は負け。中国は勝ち」、そう考えているのかと。しかし、引いたら負けという考え方自体がまずい。無謀に突っ込む方が負けですよ。

 政治家も追い詰められているのかなと思うときがあります。例えば、分科会の尾身(茂)会長の「パンデミック禍での開催は普通ではない」という提言に対して、「自主的な研究の成果の発表」と言った田村(憲久)厚生労働大臣。僕は戦没者の遺骨収集をやっていて、管轄が厚労省なので、大臣が変わるたびに挨拶に行っていた。田村さんは過去に会ってきた厚労大臣の中で一番時間を割いてくれたし、熱心に話を聞いてくれた方だったので、誠実な方だと思っていた。その田村さんがああいう言い方をしていたのを見て、相当余裕がないのかなとさえ感じましたね。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    3Aでもボロボロ…藤浪晋太郎の活路を開くのは阪神復帰か? 日本ハム、オリックス移籍か

    3Aでもボロボロ…藤浪晋太郎の活路を開くのは阪神復帰か? 日本ハム、オリックス移籍か

  2. 2
    本来は「9月左翼構想」だが…大谷が打てば打つほど手術明けの外野守備は前倒しの気配

    本来は「9月左翼構想」だが…大谷が打てば打つほど手術明けの外野守備は前倒しの気配

  3. 3
    訪日客狙い“奥日光2泊3日400万円ツアー”のアテが外れた理由

    訪日客狙い“奥日光2泊3日400万円ツアー”のアテが外れた理由

  4. 4
    「いまだに、ああいうスタンスは何なのだろうと…」当時の山田GMが首をひねった図太い神経

    「いまだに、ああいうスタンスは何なのだろうと…」当時の山田GMが首をひねった図太い神経

  5. 5
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6
    真美子夫人も共同オーナーに? 大谷「25億円別荘購入」の次は女子プロバスケチーム買収か

    真美子夫人も共同オーナーに? 大谷「25億円別荘購入」の次は女子プロバスケチーム買収か

  2. 7
    大谷「DH独占」打ちまくり、週間MVPも…他の野手を休ませられないロバーツ監督のジレンマ

    大谷「DH独占」打ちまくり、週間MVPも…他の野手を休ませられないロバーツ監督のジレンマ

  3. 8
    3人兄妹の末っ子だから年上と遊ぶ機会が多く、彼らと遊ぶだけの体力もあった

    3人兄妹の末っ子だから年上と遊ぶ機会が多く、彼らと遊ぶだけの体力もあった

  4. 9
    東山紀之社長の鉄面皮「SMILE-UP.」の体質は旧態依然…進まぬ被害者補償に批判と失望

    東山紀之社長の鉄面皮「SMILE-UP.」の体質は旧態依然…進まぬ被害者補償に批判と失望

  5. 10
    当時日本ハムGMだった山田正雄氏が「この性格はプロでやる上でプラスになる」と確信した決定的瞬間

    当時日本ハムGMだった山田正雄氏が「この性格はプロでやる上でプラスになる」と確信した決定的瞬間