【ソフトボール】エース上野由岐子はプレーイングマネジャー就任へ 13年越し五輪連覇に大貢献

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 ソフトボール日本代表が2008年北京大会から13年の時を経て連覇を達成した。

 27日の米国との決勝にベテランのエース右腕上野由岐子(39)が先発し、計6回3分の0を2安打無失点。六回途中から若手左腕の後藤希友(20)の救援を仰いだものの、最後の1イニングを三者凡退に仕留めて、北京大会に続いて胴上げ投手になった。

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 試合後、宇津木麗華監督(58)と抱き合いながら号泣した上野。「この瞬間のために13年間やってこれたので、きょうは投げられなくなるまで投げてやる、そんな気持ちでした」と笑顔で話した。

 北京大会を最後に「野球・ソフトボール」は五輪の正式競技から除外された。目標を失ったうえに、左膝痛にも悩まされて、上野は一時、真剣に引退を考えたこともあった。

 本人は進退を明言していないものの、宇津木監督は「上野にとっておそらく五輪は最後になる。集大成の大会になる」と、今大会後にはユニホームを脱ぐとほのめかしたこともある。

 今月22日に39回目の誕生日を迎えたばかり。年齢的にも今大会を競技人生の集大成と位置付けていても決して不思議ではないが、相手打者を翻弄する投球術と球威は依然として健在だ。予選リーグのカナダ戦(25日)では、「詰まらせたかったので、重くて回転のあるボールを投げた結果、ああいう形になった」(上野)と、相手の金属バットをへし折った。野球で使用する木製ならともかく、ソフトボールの金属バットはめったに折れることはないため、カナダ選手は驚きの表情を見せながらベンチに下がった。

 ベテラン右腕が、高いレベルの投球を維持していることを証明するシーンだった。

 衰えを知らないベテランを国内外のソフトボール界が放っておくはずがない。上野には、その知名度を生かして競技をもり立てていく使命が残されているのだ。

 ソフトボール関係者がこう言う。

「前回、五輪競技から除外された時のように、東京五輪が終われば、ファンの関心が薄れて日本リーグの集客にも影響しかねない。五輪で実施されなければ、中高生の競技人口の減少につながる恐れもある。国内の競技環境を維持するためにも、上野のようなカリスマ性を持ったスター選手は欠かせない存在になる。日本リーグはもちろん、日本代表のエースとしてマウンドに立ち続けてもらうしかない」

上野を正式種目復帰の切り札に

 日本リーグでプレーする選手にとっても、経験豊富な上野は、これ以上ない生きた教材になる。ソフトボールに打ち込んでいる中高生にとっても目標となる存在だけに、上野は当分、ユニホームを脱ぐわけにはいかないのだ。

野球・ソフトボール」は今大会を最後に再び、正式種目から外れるため、国際統括団体の「世界野球ソフトボール連盟」(WBSC)は、28年ロサンゼルス五輪での復帰を目指している。IOC(国際オリンピック委員会)に正式種目への復帰を働きかけるには世界的な普及や若者への人気、市場規模などをIOCに認めさせる必要がある。WBSCでは、上野を正式種目復帰の切り札として期待しているという。

 WBSCは女性理事を積極的に登用したり、野球を含めた女子選手の競技人口拡大を図るなど、男女共同参画に熱心に取り組んでいる。IOCは今年3月に発表した五輪改革の新指針案「アジェンダ2020+5」に性差別を撤廃するジェンダーバランスを高めることを盛り込んだ。仮に上野が40歳を過ぎても第一線で活躍し続ければ、IOCが目指す方向性と合致することから、これ以上ないアピールとなる。

「野球・ソフトボール」の五輪競技存続を巡っては、シーズンを中断して現役メジャーリーガーの参加をかたくなに認めない大リーグ機構(MLB)の姿勢が最大のネックとなっている。ロス五輪では国際アメリカンフットボール連盟が、アメフトを起源に生まれたフラッグフットボールの実施競技への採用を目指すなどライバルも少なくない。

 上野は東京五輪で任期が切れる宇津木監督の後任候補として名前が挙がっている。自ら代表メンバーに名を連ねるだけでなく、指揮を執るプレーイングマネジャーへの就任が有力視されているのだ。五輪競技存続のためにも、今後も獅子奮迅の働きが求められる。

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