日本Sは高津ヤクルトvs中嶋オリックスに! IDかマジックか、野村と仰木の「代理戦争」

公開日: 更新日:

 天国の名将2人も、この対決に驚いているかもしれない。12日のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ3戦目でヤクルト、オリックスがともに巨人、ロッテに引き分け。4戦先勝の6試合制で3勝1分けとなり、シーズンを制した両球団が日本シリーズ進出を決めた。

【写真】この記事の関連写真を見る(22枚)

 ヤクルトの高津臣吾監督(52)が「日本一になる挑戦権を得た。必ずこれを(神宮球場に)持って帰りたいと思います」と言えば、オリックス・中嶋聡監督(52)も「最後の最後まで一つ一つ勝って、喜び合いたい」と日本シリーズに向けての意気込みを語った。

 この2人が日本シリーズで激突するのは今回が初めてではない。野村克也監督が指揮するヤクルトと仰木彬監督率いるオリックスが日本一を争った1995年がそれだ。

 当時、高津監督は不動の守護神。中嶋監督は正捕手だった。名将の薫陶を受けた両者が、今度は指揮官として再び火花を散らすことになったのだ。

 チームの特色もそれぞれ“恩師”との共通項がある。高津監督はこれまでも何度も「野村監督には大きな影響を受けている」と語っている。

 ヤクルトOBが言う。

「選手を駒に例えるならば、野村監督は『それぞれの駒にどんな役割を与えるか?』という配置の妙があった。他球団で使い物にならなくても使い方次第で化ける。再生工場と呼ばれたゆえんです。高津監督もスアレス、田口の2人を今季途中からリリーフに配置転換し、見事成功させている。攻撃はもちろん、守備のポジショニングにもデータを駆使。常々、『今の自分があるのは野村監督のおかげ』と言って憚らず、愛弟子を自任しています」

1995年日本シリーズ以来の直接対決

 一方の中嶋監督も、猫の目打線で「仰木マジック」の異名をとった仰木野球を継承、今季は143試合中、実に130通りのオーダーを組んだ。

「1番福田、2番宗、3番吉田、4番杉本ら固定すべきところは固定し、後はさまざまな選手にチャンスを与える。この日は先発の山崎颯を3回途中1失点で降板させたように、勝負どころでスパッと継投に打って出る戦術眼も、仰木監督を彷彿させる」(オリックスOB)

 この日、九回無死一塁の場面では、下位打線に2者連続バスターの奇策。これが見事にハマり、引き分けに持ち込んだ。

 95年の日本シリーズはもともと肌の合わない両監督が激しい舌戦を繰り広げる中、ヤクルトが4勝1敗で制したものの、そのうち3戦が延長にもつれ込む激戦だった。「野村ID野球」と「仰木マジック」の継承者による決戦の火蓋は20日に切られる。

*この記事の関連【動画】もご覧いただけます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  2. 2

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  3. 3

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  4. 4

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  5. 5

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  1. 6

    オレが立浪和義にコンプレックスを抱いた深層…現役時代は一度も食事したことがなかった

  2. 7

    巨人・阿部監督に心境の変化「岡本和真とまた来季」…主砲のメジャー挑戦可否がチーム内外で注目集める

  3. 8

    阿部巨人が今オフFA補強で狙うは…“複数年蹴った”中日・柳裕也と、あのオンカジ選手

  4. 9

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」

  5. 10

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」