著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

川崎右SB山根視来は「酒井宏樹」の壁を乗り越えられるか

公開日: 更新日:

山根視来(川崎フロンターレ/28歳)

「『夢の舞台』だったのが、自分次第で『入れる』ってところまで来ている。常に高い意識を持って、これからを大事にしたいと思ってます」 

 2021年12月6日のJリーグアウォーズ。

 2年連続でベストイレブン入りした山根視来(川崎/28)は、日本代表に対する率直な思いを口にした。

 実際、昨年3月の韓国戦で代表デビューを飾るまで、彼は候補すらに挙がったことはなかった。

 それが宿敵相手に先制弾を奪うという強烈なインパクトを残し、8カ月後の11月のカタールW杯最終予選の重要局面であるベトナム、オマーンとの2連戦に先発。連勝に貢献し、右サイドバック(SB)の先輩・酒井宏樹(浦和)に肉薄している。20代後半での急成長ぶりは、見る者を大いに驚かせている。

 17日から千葉・幕張でスタートした日本代表の国内組合宿。その直前に森保日本の常連右SBの1人である室屋成(ハノーファー)が右足首を負傷し、今月27日と2月1日に迫った最終予選の中国、サウジアラビア戦出場が絶望的という悲報が舞い込んだ。

■初のW杯最終予選出場で経験したプレッシャー
 
 2014年ブラジル、2018年ロシアの両W杯を経験した酒井宏樹は健在とはいえ、OA(オーバーエージ)枠で東京五輪に挑んだ後はケガを繰り返し、万全の状態を維持できたとは言えなかった。

 今年4月に32歳を迎えることも視野に入れると、やはり同等のパフォーマンスを出せる人材が必要だ。こうした中、2021年に代表6試合に出場した山根の存在感は、日に日に増している。

 W杯最終予選に初先発となったベトナム戦では「『もし負けたら…』ということも考えましたし、今までに経験したことのないプレッシャーを感じながらピッチに立ちました」と偽らざる本音を吐露した。

 しかし、試合が始まればタテ関係を形成する快足アタッカーの伊東純也(ゲンク)を巧みにサポート。彼が値千金の決勝点を奪えたのも、背後にいた山根のクレバーな動きがあったからだ。

 続くオマーン戦も、酒井宏樹のケガが完全に回復しなかったこともあり、続けてスタメン出場。

 中東ならではの独特な雰囲気を初めて体感しながらも、堂々たるプレーで相手の突破を止め、安定感ある守備を演出した。

 この一挙手一投足には森保一監督もご満悦の様子だった。

“雑草魂”男に慢心なし  

 2021年J1での37試合出場2ゴールという「鉄人」ぶりや川崎の連覇への貢献度を含め、彼の活躍度は本当に凄まじい。

 1年前には「強度や対人のところの強さは圧倒的だし、正直、代表の中でも化け物だと思った」と羨望のまなざしで見つめていた酒井宏樹とほぼ同列に並んだと言っても過言ではないところまで辿り着いた。

 それでも<雑草魂>で這い上がってきた男に慢心はない。

 東京ヴェルディの下部組織時代は高校生年代のユースに昇格できず、茨城県のヴィザス高校へ。そこで東日本大震災に遭い、地元の横浜桐蔭大で練習環境を提供してもらうという苦労も味わった。

 同大から2016年に湘南入りし、Jリーガーの一歩を踏み出した直後にケガを負い、1年目は出番を得られず、チームもJ2に降格してしまう。

 翌2017年に本格的にプロとしての実績を積み重ね始め、3年後の2020年に川崎に移籍した。

 ここでようやく大輪の花を咲かせたわけだが、どれだけ遠回りの人生を歩んできたことかーー。

■ネイマールと互角に戦ってきた男を乗り越える

 山根が恩師と慕う湘南時代のチョウ・キジェ監督(現京都)は「諦めずに真っ直ぐ謙虚に進んでいけば、必ず実になる」と言い続け、日々の練習に付き合ってくれた。

 ディテールにこだわる指揮官から叩き込まれた哲学を胸に努力し続けた結果が、日本代表右SBでの試合出場なのだ。

 もちろん酒井宏樹という壁は、まだまだ高い。 フランス1部でブラジル代表のネイマール(パリSG)らと互角に渡り合ってきた男を乗り越え、彼は本当に森保日本の主力になれるのか?

 国際経験不足という課題は確かにある。

 この1年でそこをどう克服していくのか。

 全ての命運は今回の国内組合宿からの取り組み具合と自身がどんな好パフォーマンスに見せられるか、に掛っているだろう。

 いずれにしても、カタール本大会に向け、躍進中の山根という存在は、しっかりとチェックしておいた方がいい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • サッカーのアクセスランキング

  1. 1

    「森保監督体制を継続してはダメなのか」 2連勝発進で“待望論”再燃、後任・大岩剛監督には不安材料

  2. 2

    イメージ一変? サッカー日本代表FW塩貝健人「もう一つの顔」

  3. 3

    謎多き北朝鮮の「負けたら強制労働」は事実か、日本の敵情分析力はどの程度なのか

  4. 4

    塩貝健人〈前編〉主要5教科は「オール5」も成績評価は“4.9”…慶大FWの強みと意外な弱点(國學院久我山高サッカー部監督・李済華)

  5. 5

    森保ジャパンDF陣の“序列”に変化 相次ぐ主力離脱で評価を爆上がり“元ヤンチャの問題児”

  1. 6

    ウルグアイ戦で日本代表初の兄弟同時スタメン! 佐野海舟&航大が持つ“ピッチ外の強力武器”

  2. 7

    塩貝健人〈後編〉偶然なのか、意図的なのか…意見が分かれる代表デビュー戦の決勝アシストを解剖(國學院久我山高サッカー部監督・李済華)

  3. 8

    佐野海舟のプレミア移籍を妨げた“お金の事情” クリスタルパレス入りかなわず独マインツ残留に

  4. 9

    「本田圭佑2世」松木玖生が代表デビューで一発回答! 初招集・初先発・初シュート・初ゴールの離れ業

  5. 10

    冨安離脱、板倉不調の森保ジャパン…ロス五輪代表主将・市原吏音を「呼ぶべきだった」

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【広島】2026年 戦力外通告選手一覧

  2. 2

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  3. 3

    【阪神】2026年 戦力外通告選手一覧

  4. 4

    萩本欽一〈50〉世にも奇妙な父の最期「医師が『ご臨終』と言った後に、首がぐーって動いてさ」

  5. 5

    元巨人・桑田真澄氏に白羽の矢…中日はなぜ“完全外様”を次期監督の最有力候補に据えたのか

  1. 6

    中日「桑田真澄監督」誕生の最大障壁はナゴヤの地元愛…落合博満氏以上の“完全外様”は歓迎されるのか

  2. 7

    際立つ進次郎防衛相の外交オンチ…「高市総理に軍拡フリーハンド」で日中対話ますます遠のく

  3. 8

    JR東日本で相次ぐ「グリーン車タダ乗り」問題を乗車して検証…SNSに“アテンダントなし区間情報”流れモラル崩壊

  4. 9

    【ソフトバンク】2026年 戦力外通告選手一覧

  5. 10

    【12球団】プロ野球2026年 戦力外通告選手(随時更新)

おすすめ求人情報

美容師/アイリスト/オープニング募集&経験者大歓迎
株式会社テレマティックシステムズ 千葉県 船橋市 正社員
月給25万円
オープニング・プラ製品の加工/バリ取り・3交替・9割座り作業・時間給1400円
株式会社ニチギワールド 奈良県 王寺町 派遣社員
時給1,400円~1,750円
ホール兼簡単な調理補助オープニング
瓦そば福のや 山口県 美祢市 アルバイト・パート
時給1,200円~1,400円
Sponsored by 求人ボックス