130kgの小兵・若隆景の初Vが証明「体が大きいだけの力士はもういらない」と評論家

公開日: 更新日:

「体は小さいけど相撲は小さくない。痛快な場所でしたよ」

 こう話すのは相撲評論家の中澤潔氏だ。

 3月場所を角聖・双葉山と並ぶ「新関脇V」で飾った若隆景(27)。28日の優勝一夜明け会見では「優勝した実感がわいてきた」と話すも、「来場所からが大事。しっかり稽古して、また自分の相撲を取りたい」と気を引き締めた。

 181センチ、130キロ。昔ならまだしも、平均体重が155キロを超える今の土俵では小兵の部類に入る。若隆景以前に130キロ台で賜杯を手にした力士といえば、直近では元横綱日馬富士くらい。こちらは時に変化、時に跳ぶと小兵ならではの身の軽さもあった。

 しかし、若隆景は正面からの真っ向勝負。勝った相撲のうち、最も多い決まり手は寄り切りで、次いで押し出し。この2つが勝利の半数以上を占めている。

 冒頭の中澤氏が言う。

「若隆景は上半身の力という点では、横綱大関に匹敵するほど強い。ここ最近の土俵、特に上位陣は体の大きさ、重さにモノをいわせた取り口の力士が多い。そんな中、若隆景は『相撲は体の大きさだけじゃない』と思い出させてくれた。今後も下手に体重を増やそうなんて思わず、今のまま相撲を磨けば将来は横綱になってもおかしくありません。親方衆も若隆景のような力士を育ててほしいですね。ひたすら太らせるだけでは本当に強い力士にはならないし、ケガも増えるだけです。それよりは技を磨き、『横綱大関を目指します!』という志を持った力士をつくり上げるべき。なぜ、若隆景は130キロでもあれだけ厳しい相撲が取れるのか。角界もそろそろ目を覚まさなきゃいけませんよ」

 千代の富士は横綱昇進後は120キロ台中盤を常にキープ。幕内平均体重が140キロを超える中でも、ソップ形の体形を維持し続けた。

 130キロが「小兵」と呼ばれずに済むようなら、土俵も健全になるのだが……。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」