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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

A・バーティが電撃引退 …テニス女王の「次の夢へ」が新たな冷戦模様に重く響く

公開日: 更新日:

「コート外の問題が多すぎ、以前のようにプレーに集中できなくなった。皆、テニスより大事なことがあると感じている」

■西だけのツアーはあり得ない

 テニスは賞金、性差、地域差、ドーピング、選手会運営など、近代スポーツの課題を先行してきた。いまテニス界に起こっているさまざまな事象も、スポーツ総体が抱える構造的問題に思える。

 東西を問わず盛んだった競技が、冷戦期にアメリカを中心とした西側の論理で世界ツアーを構築し巨大ビジネスに発展した。冷戦崩壊に伴い旧社会主義国が参入すると、90年代後半からロシアの女子を中心に台頭が始まり、クズネツォワ、デメンティエワ、シャラポワ、ハンチュコバ……名前の語尾から「オバ(OVA)さん時代」と呼ばれるまでになった。西の大会を東の選手が支配し、「西の金を東が持っていく」流れに不満があったのは事実だ。徐々に東側にも大会が生まれたが、女子の中国撤退に続き、ロシアの大会は制裁で中止が決まった。

 しかし、歴史に時計の逆戻りはない。男子の1、2位を争うメドベージェフ(ロシア)、ジョコビッチ(セルビア)を含め、男女100傑のほぼ半数を旧社会主義国の選手が占めており、いまさら西だけのツアーはあり得ないのだ。新たな冷戦をそのまま持ち込めば、スポーツはひどくねじれた図式になる。バーティの引退に直接の因果関係はないかも知れないが、「次の夢へ」というコメントが現状には重く響く。

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