センバツVで公式戦20連勝の大阪桐蔭にライバルなし 98年横浜の44連勝はおそらく抜かれる
大阪桐蔭の強さばかりが目立ったセンバツだった。
3月31日の近江(滋賀)との決勝を制し、センバツでは4年ぶり4度目の優勝となった。1大会のチーム最多本塁打記録を大幅に更新する11本塁打で決勝は4発で圧倒。前田悠伍ら投手陣も盤石だった。
前年秋の明治神宮大会を制したV候補の本命が春の甲子園も優勝する確率は、だいたい40~50%。しかし、今大会は戦う前から「1強」の様相だった。
近江のエース山田陽翔は決勝で3回途中4失点。左足をかばいながら投げる姿は痛々しかった。この試合は45球、準決勝まで1人で投げてきた球数はトータルで594球にのぼった。好投手だけに、1、2回戦のフレッシュな状態で大阪桐蔭と対戦していたら、勝機はあったかもしれない。
その大阪桐蔭は1回戦こそ鳴門(徳島)にスクイズを使うなど3-1とてこずったものの、準々決勝の市和歌山戦は17-0、準決勝の国学院久我山(東京)戦は13-4、決勝も18-1。まるで大学1年生と高校生が戦っているような試合ばかりだった。決勝の観衆は1万2000人。入場制限がないのに寂しい人数だ。高校野球も興行である。大阪桐蔭の「全国1強時代」にファンが離れたと考えることもできる。高校野球界に長く携わってきた者として危機感を抱いている。