著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

東北の「ええべ」には理由がある 全国区になれば郷里を出て二度と戻らない

公開日: 更新日:

 東北人のおおらかさ、優しさかもしれないが、関東から山形の高校に来た若い監督が「ええべ」には理由があると漏らしたことがある。全国区になれば息子たちは郷里を出て二度と戻らない……。

「甲子園出場が決まり余計なことをするなと言う親がいた」

 東京に住む東北出身者は、この話を一蹴できないだろう。小ブナを釣った川に、我々はほぼ戻らない。

 竹田は白河の関を越えて郷里に戻りたかった、全国区の指導者として……。

 地元メディアの評判は良くなかった。全国紙の取材に応じても、地元には非協力的と受け取られた。(優勝旗が白河の関を越えるためには、まず自分たちが関所を越えなければいけない)……そこからの苦闘の17年を後押ししたのは、時代の地響きだけだった。

■考えられない裏切り

 甲子園には多くのドラマが詰まっていた。ジャンボ仲根(日大桜丘)。怪物江川(作新学院)。74年に金属バットが解禁、躍り出た原辰徳(東海大相模)、75年の優勝監督は弱冠26歳(習志野=石井好博)で、郷里の箕島が史上3校目の春夏連覇を果たすのは79年、やまびこ打線(池田)の初優勝は82年……。竹田はそこまでの7年間に春夏5度ずつ甲子園の土を踏み、東北高は紛れもなく全国区の一角だった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?