元川悦子
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元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

今季初ゴールのデュッセルドルフ田中碧は「あとは見とけよ」と野心をむき出しにした

公開日: 更新日:

待望の今季初ゴール

 主導権を握ったのはホームのデュッセルドルフ。序盤から押し込み、チャンスを作った。スタジアムのピッチが27日のエクアドル戦に比べて良好な状態に改善されていたこともあり、田中碧らも少しプレーしやすかったのかもしれない。

 先手を取ったのも彼ら。前半21分にアペルカンプが右足アウトの芸術的なゴールを決めて先制。ビーレフェルトもPKで前半に追いつき、1-1で試合を折り返す。ただ、この日のビーレフェルトはどこかナーバスな印象が拭えない。

 以前、内田篤人(JFAロールモデルコーチ)が「ドイツはホームとアウェーで別のチームに変わる」と話していたことがあったが、敵地でやりにくさを覚えていたはず。奥川も持ち前の攻撃センスを見せられずに苦しんだ。

 そんな相手に対し、デュッセルドルフは後半、一気に畳みかける。けん引役となったのが田中碧。開始早々の2分、右に開いたアペルカンプの折り返しをゴール前で右足で合わせ、待望の今季初ゴールを奪ったのだ。

「やっとです。今年結構外してたんで、やっと入った。何気ないゴールですけど、ホッとしているし、すごく気持ちが落ち着いた」と本人も安堵感を吐露していた。

■トップ下のアペルカンプが2G・1Aの大活躍

 この2点目で勢いに乗ったデュッセルドルフはアペルカンプが芸術的ループで3点目をゲット。さらにCKから4点目を奪い、終わってみれば4-1の圧勝。暫定順位も4位に上がった。

「僕も川崎時代はずっと優勝争いしてきた中で、上位で戦うというのはプレッシャーが違う。最後の10試合でその位置にいられるかどうか、は凄く大事。連勝することが大事だと思います」と田中碧は1つの勝利に浮かれることなく、先を見据えて気を引き締めた。

 2カ月後にカタールW杯が迫っていることも、緊張感維持の原動力になっているのだろう。森保日本が9月2連戦から4-2-3-1の布陣に戻したこともあり、田中碧は遠藤航(シュツットガルト)、守田英正(スポルティング・リスボン)に続く位置づけに。

 アメリカ戦に出られず、エクアドル戦に出たのも「僕のポジションはA(ではなく)Bなんで仕方ない」と控えにいる現状を彼なりに受け止めている様子だった。

■田中碧「自分の立場は分かってるんで」

 しかしながら、高い意識を持つ24歳は今の序列に甘んじているつもりなどない。

「自分の立場は分かってるんで、あとは見とけよ、と。それしかない。僕もそれなりの覚悟はできてますから」と野心をむき出しにしたのだ。

 森保一監督はもちろん田中碧を重要戦力の1人と位置づけているはずだが、本人は絶対的主力としてW杯を戦いたいという思いが強いようだ。

 かつて同じ24歳で2010年南アフリカW杯に参戦した本田圭佑もギラギラ感を強く押し出し、スターダムにのし上がった。田中碧にも先人の系譜を歩むべく、11月1日のメンバー発表までの5試合で結果を残し続けるしかない。今季初ゴールがその起爆剤になるといい。

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