著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

W杯落選の原口元気が乗り越えた失望感「サッカーに年齢は関係ない」鼻息荒く代表返り咲きを狙う

公開日: 更新日:

原口元気(シュツットガルト・MF/31歳)

「(2018年)ロシアW杯からの4年間、チームのために頑張ってきてくれたのに事前に(W杯落選を)伝えられなかった。申し訳なかったと本人に話しました」

 日本代表の森保一監督が2月に渡欧した際、原口に直々にこう言ったという。

「僕は常にセレクションを受けてる身。その舞台がW杯だっただけ。『謝らなくていいですよ』って話はしました。監督は選ぶのが仕事だし、自分のパフォーマンスがよければ、また可能性がある。今は前向きに捉えています」と前だけを見据えている。

 ◇  ◇  ◇

「最初はやっぱり難しかったですね。1カ月半くらいかな……。嫁にも心配されていた時期もあったし。その時から筋トレして体重を増やしてみようとかいろいろトライはしてたけど、自分でも気づかないダメージがあったのかもしれないですね」

 カタールW杯メンバー落選後の心境をこう述懐する。

 ロシアW杯ベルギー戦で先制点を自身の右足で決めながら、衝撃的な逆転負けを喫して以来、「カタールで必ずリベンジを果たす」という強い思いを抱き続けきた。

 だからこそ、失望感は常人の想像をはるかに超えるものがあったはずだ。

「何で俺はここでテレビを見てるんだろう……」とカタールW杯で日本がドイツに勝つ様子を目の当たりにしながら、虚無感も覚えたという。

 実際、森保日本での4年間は苦境の連続だった。

 2018年秋のチーム発足時は南野拓実(モナコ)、堂安律(フライブルク)、中島翔哉(アンタルヤスポル)の三銃士が台頭。原口は彼らのバックアップ役と位置づけられた。 ロシアの主力としては不本意だったはずだが、「必ず定位置を奪い返してやる」と奮起した。

 その後も伊東純也(スタッド・ランス)や鎌田大地(フランクフルト)らの急成長で序列が思うように上がらなかったとはいえ、代表から外れたことは一度もなかった。

 本人も「自分は中盤の全ポジションをやれる。カタールで必ず仕事ができるはず」と信じて自己研鑽を図ってきた。

 その大舞台への道が目前で断たれた。「何かを変えなければいけない」と痛感するのも当然だろう。

「吹っ切れたのは新年くらい。(前所属の)ウニオン(・ベルリン)のキャンプに行った時くたいから、移籍)の話が出て来て、少し気持ちが軽くなった。今季ブンデスリーガ上位のウニオンにいれば、来季の欧州CLにも出れたかもしれない。GMやフィッシャー監督にも止められたけど、自分としては個の成長が絶対に必要だと思った。シュツットガルトに行けばボールタッチやゴールに向かう回数も増える。仕事量を多くできる環境に行きたかった」

 そんな思いから移籍を決意。1月末に新天地に赴く決断を下した。

 それから公式戦全試合に出場。リーグ戦は降格圏内の16位に沈んでいるが、パフォーマンスは目に見えて変化している。

 ウニオン時代は1試合のタッチ数が30回程度だったが、シュツットガルトでは50~60回と倍増。決定機に絡むシーンも見違えるほど多くなった。

 原口の父・一さんは「元気にはもっとヤンチャなプレーをしてほしい」と願っていたが、それができる場所を見出したことで本来の輝きを取り戻しつつあるのだ。

「ウニオンでそれをやるのはムリだったよね(苦笑)。でも今は自分の良さが出てると思うし、ゴール前に絡んでいく仕事もさせてもらえている。(遠藤)航と並んでプレーできいてるのも大きい。航を近くで見ていて、攻撃から守備まで全てのことが平均以上にできる選手になったなと痛感するし、一緒にやるのは大きなプラス。今のトライを形にして残留に持っていきたいですね」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • サッカーのアクセスランキング

  1. 1

    謎多き北朝鮮の「負けたら強制労働」は事実か、日本の敵情分析力はどの程度なのか

  2. 2

    佐野海舟のプレミア移籍を妨げた“お金の事情” クリスタルパレス入りかなわず独マインツ残留に

  3. 3

    イメージ一変? サッカー日本代表FW塩貝健人「もう一つの顔」

  4. 4

    冨安離脱、板倉不調の森保ジャパン…ロス五輪代表主将・市原吏音を「呼ぶべきだった」

  5. 5

    塩貝健人〈前編〉主要5教科は「オール5」も成績評価は“4.9”…慶大FWの強みと意外な弱点(國學院久我山高サッカー部監督・李済華)

  1. 6

    ウルグアイ戦で日本代表初の兄弟同時スタメン! 佐野海舟&航大が持つ“ピッチ外の強力武器”

  2. 7

    塩貝健人〈後編〉偶然なのか、意図的なのか…意見が分かれる代表デビュー戦の決勝アシストを解剖(國學院久我山高サッカー部監督・李済華)

  3. 8

    「本田圭佑2世」松木玖生が代表デビューで一発回答! 初招集・初先発・初シュート・初ゴールの離れ業

  4. 9

    第3次森保ジャパン初招集4人で生き残るのは…鎌田大地&三笘薫の「後継者候補」2人の名前

  5. 10

    欧州初の日本人指揮官誕生へ 森保一監督の“再就職先”は「ベルギー1部の日系クラブ」一択か

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    伊原陵人の女性トラブル報道と関係が? 阪神の若手有望株を巡る“不可解な塩漬け”

  2. 2

    NHK「のど自慢」見ていて、あの政党の党勢縮小の理由がわかった

  3. 3

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  4. 4

    維新から入閣の中司宏新大臣に案の定「裏金疑惑」…高市内閣は支持率20ポイント暴落もある

  5. 5

    DeNA構想外の藤浪晋太郎を拾いそうな「意外な2球団」 “瀕死の剛腕”にはこれだけの魅力

  1. 6

    藤島ジュリー景子もう復活 懲りない真っ暗闇集団「旧ジャニーズ」と、それを許すテレビ局

  2. 7

    『ペイパーバック・ライター』60年前の日本との実力差を感じる凝った機材セッティング

  3. 8

    藤島ジュリー景子氏「復権の宴」と、「死ぬほど悔しい」と今もむせび泣くジャニー喜多川氏性加害被害者の肉声

  4. 9

    水前寺清子(4)気をつけていることといったら、「自分の心と違うことは言わない」ぐらいかな

  5. 10

    結核とは違う感染症「非結核性抗酸菌症」患者が増加…人からうつらないのに感染するのはなぜ?