著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

ゼレンスキー大統領はバッハ会長に五輪開催立候補を伝えていた

公開日: 更新日:

 22年2月20日に北京冬季五輪が閉幕した。その4日後にロシアがウクライナ侵攻を始め、ウクライナでの戦争がいまだに続いている。IOCにとってこの戦争が最も危機的なのは、オリンピック休戦というオリンピズム(五輪精神の哲学的原則)の鉄則が打ち破られたことである。五輪の前年に国連決議されるこのオリンピック休戦の期間はオリンピックの開会7日前からパラリンピック閉会の7日後までとされている。

■戦争終結アピール

 この休戦決議を破った戦争に対して五輪理念を実現するためにできることは何か? 戦地に「平和の祭典」を持ってくることである。もし、世界に向かって「30年のオリンピックをウクライナでやろう!」と呼び掛ければ、それはオリンピックのステークホルダーへの要請となり、戦争終結をアピールする一つの世界的運動体となる可能性を秘める。

 実は21年9月にゼレンスキー大統領がバッハIOC会長にウクライナの冬季五輪開催立候補を伝えているのだ。19年から五輪開催地はIOCの「将来開催地委員会」が立候補都市と密に連絡を取り合い、話し合いながら適宜決めていく形になった。ウクライナ開催の提案をJOCと札幌市から行い、招致活動を支援することを表明すれば、まさにJOCと札幌市は五輪運動の神髄を実践することになる。それは東京五輪の贈収賄事件などの汚れを落としてくれるだろう。そして札幌市は次の冬季五輪へ向かうことができる。

 果たして、ウクライナでの冬季五輪、実現の方法はあるのか?(つづく)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし