著者のコラム一覧
六川亨サッカージャーナリスト

1957年、東京都板橋区出まれ。法政大卒。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年にサカダイを離れ、CALCIO2002の編集長を兼務しながら浦和レッズマガジンなど数誌を創刊。W杯、EURO、南米選手権、五輪などを精力的に取材。10年3月にフリーのサッカージャーナリストに。携帯サイト「超ワールドサッカー」でメルマガやコラムを長年執筆。主な著書に「Jリーグ・レジェンド」シリーズ、「Jリーグ・スーパーゴールズ」、「サッカー戦術ルネッサンス」、「ストライカー特別講座」(東邦出版)など。

JFL2位と大健闘! ブリオベッカ浦安・都並敏史監督の「マイ・フットボール・ライフ」

公開日: 更新日:

 2023年シーズンのJFL(日本フットボールリーグ)で、元日本代表左サイドバックの都並敏史監督率いる「ブリオベッカ浦安」(本拠=千葉・浦安市)が、序盤「9試合勝ちなし」の最下位から「16試合負けなし」の凄まじい追い上げを見せ、サッカーファンの間で大きな話題となった。

 2016年に関東サッカーリーグ1部から初めてJFLに昇格した浦安だったが、2018年にはJFLに逆戻り。リスタートを切って5年目の昨シーズン、JFLに返り咲いた。とはいえ、昇格組にとって序盤は0勝3分け6敗(勝ち点3)と苦しい戦いが続いた。が、第10節・ソニー仙台戦で初白星を挙げると上昇気運に乗り、そこから第28節・高知ユナイテッド戦を1-2で落とすまで「10勝6分け」の無敗ロードまっしぐら。  

 終わってみれば、本領を発揮して優勝した実力ナンバーワンのホンダFCに次いで2位に食い込み、ブリオベッカ旋風を巻き起こしたのである。

 大躍進を遂げた2023年シーズンを振り返りながら、自身の指導者としてのモットー、Jリーグ参入に向けた未来予想図などを聞いた――。

■天皇杯・筑波大戦の勝利でチームに自信が芽生えた 

 ――序盤の低迷を脱する契機となったのは?

「シーズン前にJ3相模原に引き抜かれた右サイドバックのところから<水漏れ>が生じたり、JFL選手の試合中の戦術変更の適応スピードの速さに戸惑ったり、なかなか白星を得ることができませんでした。3分け6敗と負けが込み、勝って自信を付けることが必要と思っているところで迎えた5月21日の天皇杯1回戦・筑波大戦に勝てたのが大きかった。試合前に『お前たちは雑草集団だ。向こうはプロになると年俸何千万クラスの選手がいる。失うものは何もない』と檄を飛ばしました。選手たちは、本当にファイトして勝利をもぎ取ってくれました」

 ――筑波大戦の3日後の第9節・レイラック滋賀戦は1-3で敗れましたが、続く第10節のソニー仙台戦で初勝利を飾りました。

「その滋賀戦が、今シーズンで一番悔いの残った試合でした。実は試合前日、ある理由でセットプレー対策の時間が取れなかったのですが、滋賀戦は3失点すべてがセットプレーから。この敗戦は痛恨の極みでした。それでも試合内容は良かったし、勝てる試合だったので気持ちの切り替えも上手くいき、第10節・ソニー仙台戦を3-2で逃げ切り、初白星を挙げることができました」

 ――6月7日の天皇杯2回戦・横浜マリノス戦は0-2でしたが、選手の奮闘ぶりは素晴らしかったと思います。 

「当たって砕けろ! 強気で行こう! と積極姿勢で臨み、非常に素晴らしい戦いが自分も選手たちもできたと思います。前からプレスに行って、良い形でボールを奪うことができ、攻撃も活性化していきました。攻守に良い流れができていったと思います」 

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