著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

上機嫌で自画自賛のIOCバッハ会長が忘れてはいけない 国家と政治を超えた選手の姿

公開日: 更新日:

 現地8月3日にパリオリンピック前半を総括するプレスブリーフィングに登場した、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は上機嫌だった。彼はセンセーショナルをもじって「セーヌセーショナル」とパリ五輪を表現するほどだった。

 水質問題を抱えるセーヌ川に飛び込んだトライアスロン選手への自虐的なエールにも思えたが、セーヌ川を軸として繰り広げられている五輪は、IOCのソーシャルメディアで85億ビューを記録し、開会式はフランス国内で83.3%、日本ではここまで82.7%が何らかの形で競技を視聴しているというデータを発表した。この数字は確かにセンセーショナルにイベントとしての成功を裏付けている。

 しかし、それだけではただの商業主義と揶揄されるだけかもしれない。それ以上に重要なのは多くの競技において接戦が展開されていることである。実際、これまでメダルに縁のない国からメダリストが誕生している。

 陸上競技でドミニカ(女子三段跳びのテア・ラフォンド・ガドソン)とセントルシア(女子100メートルのジュリアン・アルフレッド)が初めてメダルを獲得した。しかも金メダルだ。体操としては、ナリマン・クルバノフがカザフスタンに初のメダルをもたらし、フィリピンのカルロス・ユーロは、ゆか運動で金メダルを獲得した。IOCが推進してきたソリダリティー基金による発展途上国への選手育成支援の実りが証明されたと言える。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発