【新連載】現中日監督の井上一樹が「付き人」に間違えられ…一般人に激怒した夜
「あなた、マネジャーさん?」
この言葉にカズキはカチーン。
「マネジャーじゃねえよ!」
と、鬼の形相でブチ切れたのだ。
でも、よくよく考えたら、そりゃあそう思うよなぁ。二軍で泥だらけになっている若手の顔なんて誰も知らない。華やかなスター選手には人だかりができても、二軍選手が主力選手の付き人に間違えられるのは、仕方ないことだ。
■「絶対に見返してやる」
実はオレもプロ2年目の頃にカズキと同じ経験をした。ある食事会に出席したときだった。仁村薫さんや中村武志さんら主力選手がいて、中でも、中村さんは捕手のレギュラーの座を掴んだこともあって、チヤホヤされていた。そんな中、ある人が中村さんの隣にいたオレを見るや、こう言ったんだ。
「あなた、中村さんのマネジャーさんなの?」
オレはカズキのようにブチ切れはしなかったが、心の中では、「このヤロー!」とはらわたが煮えくり返った。世間なんてそんなもんやと思った半面、「絶対に見返してやる。何としても中村さんを追い越さないかん」と、心に火が付いた。本当の意味で、オレのプロ野球人生が始まった瞬間でもあった。だからこそ、カズキの気持ちはよく分かる。