「わざと後逸してくれ」…江川卓は球宴の3イニングで“10奪三振”を狙って私に耳打ちした

公開日: 更新日:

中尾孝義氏による「革命捕手が見たプロ野球」(第1回=2022年)を再公開

 日刊ゲンダイではこれまで、多くの球界OB、関係者による回顧録や交遊録を連載してきた。

当事者として直接接してきたからこそ語れる、あの大物選手、有名選手の知られざる素顔や人となり。当時の空気感や人間関係が、ありありと浮かび上がる。

 今回はあの江川卓氏について綴られた、中尾孝義氏による「革命捕手が見たプロ野球」(第1回=2022年)を再公開。年齢、肩書などは当時のまま。 

  ◇  ◇  ◇

「ワンバウンドのカーブで三振を取るから、中尾ちゃんはうまい具合に後ろにそらしてくれ。ワイルドピッチでも記録は三振。そうすれば10個の三振が取れるだろ?」

 ロサンゼルス五輪が開催された1984年7月24日。熱帯夜のナゴヤ球場で行われたオールスター第3戦で、江川卓(巨人)が息をのむような投球を見せていた。中日の捕手だった私は、地元での試合ということで、先発マスクをかぶっていた。

 球宴で登板する投手には「最長で3イニングまでしか投げられない」という規定がある。どんなに好投を続けても、3回を投げ終えたら降板しなければならない。江夏豊さん(阪神)は71年の球宴第1戦に先発し、打者9人から全て三振を奪った。これは破りようのない記録のはずだった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度不倫の山本モナ 年商40億円社長と結婚&引退の次は…

  2. 2

    日本ハムFA松本剛の「巨人入り」に2つの重圧…来季V逸なら“戦犯”リスクまで背負うことに

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  5. 5

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  1. 6

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  2. 7

    (2)「アルコールより危険な飲み物」とは…日本人の30%が脂肪肝

  3. 8

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  4. 9

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 10

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然