中日1位・中西聖輝「甲子園優勝」でプロ入り決意も、土壇場で青学大進学に“翻意”した顛末

公開日: 更新日:

「4年後のドラ1は男と男の約束や!」

 中西はその言葉通りにリベンジを果たした。翌年の夏、県大会決勝で市和歌山相手に1失点完投。甲子園切符を手にすると、「智弁対決」となった甲子園決勝ではリリーフで6回無失点と好投し、優勝投手になった。

 当時の中西はプロ志望。あざみさんとともにその旨を伝えるべく智弁和歌山の監督室を訪ねると、中谷仁監督から思いがけない提案を受けた。

「必ずドラ1になれる素質がある。今はコロナ禍で先が見通せないし、焦る必要はない。もっと自分を高めるために大学へ行かないか」

 3年生が秋口から探せる大学があるのか。あざみさんが不安を口にすると、中谷監督は「青学大の安藤寧則監督がずっと一緒にやりたがっている」と言う。最初は面食らったが、中谷監督の話を聞くうちに、親子の気持ちは進学に傾いた。

「聖輝が腹を決めると、中谷監督はその場で安藤監督に電話。聖輝が『よろしくお願いします』と伝えると、『そうか! 4年後、絶対ドラフト1位でプロ野球選手になろうな!』と声をかけてくれたんです。隣の私に聞こえるくらい元気な声で(笑)。その瞬間、聖輝の顔がパッと明るくなった。よっぽど胸に響いたのでしょう。帰り道でも、『4年後のドラ1は男と男の約束や!』と。大学生になっても私と顔を合わせるたび、『俺は絶対に嘘はつかない』『目標はブレない』と言い続けていました」(同)

 青学大入学直前に右肘をトミー・ジョン手術。1年目はリハビリに専念し、本格的に投げ始めたのは3年になってから。あざみさんは故障明けの息子を案じて試合成績を眺めているうちに、あることに気が付いた。

「奪三振率が目に見えて上がった。本人に何か意識しているのかと聞くと、『深くは考えてない。でも、前の打席で打たれた打者からは三振を奪いにいっている』ってサラッと言ってのけた。驚きました。聖輝らしいというか、負けず嫌いなんです。中日さんからドラフト1位で指名していただき、安藤監督との約束を守ることができて本当に良かったです」(同)

 中西は負けじ魂を胸に秘め、まもなく名古屋へと向かう。

▽中西聖輝(なかにし・まさき) 2003年12月18日、奈良県橿原市生まれ。新沢小、光陽中を経て智弁和歌山高へ。3年夏に甲子園V。青学大3年時は春秋リーグ、大学選手権、神宮大会を制して4冠に貢献。右投げ右打ち。身長183センチ、体重92キロ。最速152キロ。好物は母の作ったチキン南蛮、するめ。

  ◇  ◇  ◇

 本記事下部の【関連記事】には、過去に掲載した中日選手の「家庭の事情」をピックアップ。プロ野球ファンは要チェックだ。

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