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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

ヤンキースが直面する大きな岐路…「普通の球団」へと変貌するか、「悪の帝国」に戻るのか

公開日: 更新日:

 例えば、年俸の総額を規定の範囲内に収めれば支払わなくてよいぜいたく税は、本来であれば回避したい、不要な支出となる。

 それでも有力なFA選手を獲得し、毎年のように大リーグで上位のぜいたく税を払い続けてきた背景には、常に勝利を求めるニューヨークの観客と報道陣の有形無形を問わない圧力が少なからず影響していた。

 ハルがジョージからヤンキースの経営を引き継いで以来、ワールドシリーズ優勝を1回、アメリカンリーグ優勝を2回、プレーオフには13回出場する実績を残している。

 他の球団であれば称賛されるはずが、ワールドチャンピオンとなることを求められ続けるヤンキースとしては物足りない成績となる。

 その結果、ハルには球団の売却、ゼネラルマネジャーのブライアン・キャッシュマンには辞任を求める声を寄せ続けるのがニューヨークの人々だ。

 ヤンキースはこのオフ、コディ・ベリンジャーと再契約したものの、有力なFA選手を迎え入れていない。

 安全な経営を目指す姿には、「金満球団」「悪の帝国」といわれながらも勝利を目指したジョージ時代の面影はない。

 だが、普通の球団への転換を目指す現在の体制にとってみれば、こうした呼び名は不合理な経営の象徴でしかない。

 このまま新しい球団へと変貌するのか、周囲の圧力に屈して「悪の帝国」に戻るのか、ヤンキースは大きな岐路に立たされている。

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