「八方破れや!」西本監督が意気込み日本Sを先勝するも、翌日の雨天中止が流れを変えた
「毎年、シリーズでは巨人に赤子の手を捻るが如くやられていた」
森本が言うように、V9時代の巨人は、日本シリーズでは一度も王手をかけられることなく、横綱相撲で勝ち続けた。苦い思い出は翌年以降も続く。
翌69年、阪急は三原脩監督率いる近鉄バファローズと優勝を争う。最終戦まで残り4試合、近鉄が先に2勝挙げれば近鉄の初優勝、阪急は2勝1分けで優勝と、やや近鉄有利な条件での直接対決4連戦を迎えた。初戦、西宮球場でのダブルヘッダー第1戦、延長11回の裏に投手・宮本幸信のサヨナラホームランで先勝。勢いに乗る阪急は第2試合にも連勝し、舞台を藤井寺球場に移した3戦目も勝ち、リーグ3連覇を決めた。
日本シリーズは3年連続で巨人と対戦。この年、西本幸雄監督は試合前、マスコミを通じて意図的に「今年は阪急が有利」と、下馬評を流した。選手たちの巨人コンプレックスを払拭するための戦略だった。
そしてシリーズのローテーションの柱に入団2年目の宮本を起用する。シーズン後半戦に7勝を挙げ、終盤の近鉄との最終決戦には値千金のサヨナラホームランを打ったラッキーボーイ。前年度のシリーズにはリリーフで3試合に登板し、3イニングをノーヒットに抑えている。荒れ球だが威力ある速球を投げる秘密兵器に西本はシリーズの命運を託した。
(中村素至/ノンフィクションライター)



















