作家・阿刀田高さん 御年91歳「男のひとり暮らし」の現在を語る

公開日: 更新日:

阿刀田高(作家)

 ブラックユーモアやミステリーを盛り込んだ短編の名手と称され、1979年に「ナポレオン狂」で直木賞を受賞。これまで900編以上の短編小説を執筆した。今月13日に91歳になったばかり。数年前に夫人が介護施設に入居して以来、自宅でひとり暮らしを続けている。人生の最終盤の楽しみ方をつづったエッセー「90歳、男のひとり暮らし」(新潮選書)が大人気だ。

  ◇  ◇  ◇

 ──毎日料理を作ったり、歌謡曲を楽しく聴いたり、漢字遊びや落語を〈読んで〉楽しみ、眠れない夜は百人一首を数えるなど、「何ごとも“まあまあならそれでいい”」と老いを受け入れているそうですね。そんな阿刀田さんに健康や長寿の秘訣をお聞きします。御年90歳を越えても自炊。きっかけは認知症を患った夫人が2023年に介護施設に入ってからとエッセーにあります。夫人は昨年の5月に永眠し、エッセーの最後に奥さまに対する深い愛情もつづられています。ひとり暮らしの献立で悩んだことはありますか?

 30歳で結婚するまで、20代の7年間はひとり暮らしだったため、料理に覚えがないわけではないので苦にはなりません。メニューは毎朝ほとんど同じで、バタートースト1枚、あるいは餅1個の磯辺焼き。牛乳、トマト、バナナ、チーズ、それからブロッコリーと卵を茹でます。昼ごはんはお湯を注げば食べられるようなものとか。

 ──夜は肉や魚を焼いたり、湯豆腐、豚汁、おでん、親子丼、時には茶わん蒸しなど繊細なメニューもあります。正月は煮卵と手が込んでいます。

 おでんといっても、近くのスーパーで購入したもの。袋に入っているおでんセットを温めたりします。親子丼は娘から「これって、本当に親子丼なの」と言われます。鶏肉に卵の組み合わせだから立派に親子丼だといっても娘はとりあってくれない。煮卵は正月に。家族から好評です。

 ──ご自分のキッチンには不足が多いかもしれないが、「これでいいのだ」とおっしゃっていますが?

 のんきに構えていればそれでいいんです。

 ──エッセーの冒頭で「こんなに長生きするとは思っていなかった」とあります。健康に対する意識が高そうですね。

 20代で肺結核を患い、薬のおかげで克服しました。そのため健康を理性的に考えるようになっていますね。結婚してから60年、毎年人間ドックで検査をしています。検査代で家が一軒建つでしょう(笑)。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市首相が参院自民にイライラMAXで爆発寸前! 予算案の年度内成立断念で身内に八つ当たりの醜悪

  2. 2

    世界陸上マラソンで金メダル谷口浩美さんは年金もらい、炊事洗濯の私生活。通学路の旗振り当番も日課に

  3. 3

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  4. 4

    武豊プロミストジーンを勝利に導く「第3回兵庫女王盃(JpnⅢ)」~園田競馬

  5. 5

    地方での「高市効果」に限界か…東京・清瀬市長選で自民現職が共産候補に敗れる衝撃

  1. 6

    阪神・藤川監督に「裸の王様」の懸念 選手&スタッフを驚愕させた「コーチいびり」

  2. 7

    第2子妊娠の倖田來未が18年前の“羊水発言”蒸し返されるお気の毒…SNSには「擦られすぎ」と同情の声

  3. 8

    ナフサ供給に暗雲で迫る医療危機…それでも高市政権「患者不安」置き去りの冷酷非情

  4. 9

    Wソックス村上宗隆にメジャーOB&米メディアが衝撃予想 「1年目にいきなり放出」の信憑性

  5. 10

    全国模試1位の長男が中学受験、結果は…“ゲッツ‼”ダンディ坂野さんに聞いた 子への接し方、協力の仕方