作家・阿刀田高さん 御年91歳「男のひとり暮らし」の現在を語る

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90歳手前で胃がんの手術、3時間で「はい、終わり」

 ──79歳で心臓の手術をなさってますね?

 虫歯はないのに、口の右奥に鈍痛がありました。坂道を上ると息切れがする。そこで診察してもらった近所の医者が日本赤十字社医療センターに電話してくれた。すぐに来て欲しいということで、日赤へ。循環器系に回されて検査したら狭心症だった。医者から「手術するなら今晩だな」と言われ、救急病棟へ。そこは携帯電話禁止なのに、私と同じ事情なのか、ひっきりなしに電話をかけているのが3人ぐらい。それからあれよあれよと手術となり、とはいえ、手術といってもカテーテル治療という簡単なもの。その日の朝、トーストを1枚食べただけでしたので空腹でした。

 ──病院が嫌いという高齢者が多いのに、スパッと決断する姿は勇ましいですね。

 私は「悪いところは切って捨てろ」に傾くタイプなので、日赤に委ねました。それからは3カ月おきに今でも通院しています。

 ──他に疾患はありますか。

 39歳の時に胆のう炎の手術を。それから胃がんの手術をしました。人間ドックで初期段階とわかり、心臓のことが心配だったので手術にはためらいがありました。医者から「5年ぐらい大丈夫」と言われても、その5年が経ったら「そのうちに死んでしまうよなあ」と。そこで手術しました。内視鏡で患部を剥がし取る内視鏡剥離術という方法で麻酔をしてから3時間で「はい、終わりました」。翌日から重湯が出て、3日目から個室で体操。こんなに簡単なら医者に脅かされることもなかったなあ。

 ──90歳手前で胃がんの手術、3日後には体操とは武勇伝のようですね。血圧や耳、目、歯など他はいかがでしょう?

 血圧は正常で、血糖値がぎりぎりセーフの数値です。目は悪く、白内障の兆候があるけど、医者からこのままでいいと。朝刊には必ず目を通しますが、タイトルを見て、気になる記事をルーペで読む程度。昔は読書が楽しみでしたが、文庫本など文字が小さい本は読むのがしんどくなってきて、自宅のコピー機で拡大コピーをして読んでいます。耳は補聴器の必要がない。鼻は昔から匂いに鈍感なほう。歯は、入れ歯とインプラントですね。

 ──歩行はどうですか?

 杖をついています。出版社から立派な杖を贈ってもらった時はなくしてしまうと思っていましたが、いざ必要になると忘れないものですね。外出するときは杖をつきながら、電信柱などにつかまって買い物に行ったりします。近くに住む家族と外食するときは車椅子。行きも帰りも押してもらえるので。

 ──転倒防止はいかがですか?

 慶子さん(夫人)が病気になってから、トイレから寝室まで手すりを作ったのが役に立っています。

 ──睡眠はどうでしょう。眠れますか?

 昔から寝つきが良いほうではなく、なかなか眠れない日があります。記憶をたどり、あれこれと思い出してみる。例えば、「源氏物語」全54帖のタイトルを頭の中でつぶやく。桐壺、帚木、空蝉、夕顔……、横笛、鈴虫ときて、はて次は何だったっけ? と。また百人一首を一つずつ思い出してみたり。要は、眠れない、眠れないと悩まない。なんともシンプルな睡眠法です。

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