新選組の無名隊士を描いた短編集を上梓 小松エメル氏に聞く

公開日: 更新日:

 それが蟻通勘吾、酒井兵庫、近藤周平ら。沖田や土方と違って、彼ら無名隊士の記録はあまり残っていない。

「新選組は近藤勇が多摩で開いていた天然理心流の道場出身者が多いので、多摩の史料館などに隊士や支援者の日記や書簡が残されているんです。そこに隊士の記録や役職が書かれているのを基に話を膨らませました。例えば、蟻通という珍しい姓の隊士が2人いて、従兄弟と書いてある史料があったんです。それで、行方不明になった従兄が実は長州の間者で、脱走したと疑われていたが、従弟の勘吾の夢に出て、何かを告げようとするという話にしてみました」

 また、寄越人という役職があることにも目を留めた。

「切腹した隊士を葬るのを見届ける役職なんです。そういうものがあるのは、それが必要な状況があったんだろうと。新選組の闇の部分。そこに興味がありました」

 新選組は隊規に触れて切腹させられた隊士が多い。著者は、寄越人に任じられた酒井兵庫を取り上げて、その苦悩や新選組内部に渦巻く不信感を描き出している。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも