「笹の舟で海をわたる」角田光代著

公開日: 更新日:

 朝鮮戦争の好景気に活気づく東京・銀座のデパートで、勤め帰りの左織は、同年代の見知らぬ若い女性に声をかけられる。風美子と名乗る女性は、戦時中、いじめが横行した学童疎開先で、左織に優しくしてもらったのだという。だが、少女時代の過酷な記憶を心の奥にしまい込んでいた左織は、思い出すことができない。

 それでも、この偶然の出会いをきっかけに2人は親しくなり、ついに義理の姉妹になる。左織の夫の実弟と風美子が結婚したのだ。

 疎開体験を共有する2人だが、戦後は全く違う人生を歩むことになる。

 左織は2人の子を持つ専業主婦。戦争で家族を全て失った風美子は自分の力で這い上がり、料理研究家として脚光を浴びる。保守的で自分の意見を持たない左織には、風美子の生き方がまぶしい。自分の家庭に深く入り込み、反抗的な娘が自分より風美子になついていることに嫉妬を覚える。最初の出会いは本当に偶然だったのか?左織は疑念をぬぐいきれない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    任侠山口組が組長制に 40数名が織田代表と親子盃、舎弟盃

  2. 2

    役者はセリフが命…山P「インハンド」にブーイングのワケ

  3. 3

    統一地方選で2ケタ議席「N国党」と「幸福党」大躍進のナゼ

  4. 4

    お笑い文化台無し!安倍首相の吉本新喜劇出演に府民大激怒

  5. 5

    就職戦線“買い手市場”に激変 新卒採用は氷河期に向かう

  6. 6

    ジャニーズ頼みは厳しい?ドラマ視聴率と主題歌の相反関係

  7. 7

    「失われた10年」を「30年」に拡大させた戦後の無責任体制

  8. 8

    会長の「終身雇用守れぬ」発言に隠された経団連の“本音”

  9. 9

    先物が最高値 GW10連休を襲うガソリン髙と値上げラッシュ

  10. 10

    衆院沖縄3区補選 屋良朝博氏の勝利に敢えて水を差す

もっと見る