古典を現代語訳で読む特集

公開日: 更新日:

 1300年も前の日本では常識だったことが、現代ではちんぷんかんぷんなことも多々ある。ゆえにこれまでの現代語訳は、本文を読み進めながらもその意が分かるよう本文に説明が織り込まれていた。しかし、それでは文体が間延びしてしまうと、訳者は作者の意図を取りこぼしなく現代に伝えるために脚注を設けることにしたという。

 いままで近寄りがたいと敬遠していた人にとって、待望の現代語訳版となるに違いない。

(河出書房新社 2000円+税)

■「謹訳 源氏物語 私抄」林望著

「私抄」と名付けられた本書は、紫式部が書いたといわれる「源氏物語」全54帖の現代語訳を完成させた著者が、名文や名場面を取り上げながら、作品の魅力を語ったサブテキスト。

 良家の姫君や北の方はめったに人目に触れてはならないのが平安時代の不文律。では、恋はどう発展したのか。青年時代の光源氏が、空蝉の弟・小君の手引きで邸に忍び入る「空蝉」のシーンを例に「垣間見」の作法を紹介。物語随一の官能シーンである源氏の息子・夕霧が死んでもなお美しい紫上の遺体と対面する場面もその垣間見の視線で描かれていると読み解く。(「垣間見の視線」)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発