監視社会に陥った近未来の日本を描いた 赤川次郎氏に聞く

公開日: 更新日:

「三毛猫ホームズ」や「三姉妹探偵団」など数多くの人気シリーズを抱え、累計発行部数は3億冊超。軽妙なユーモアミステリーを得意とする赤川次郎氏だが、最新作の「東京零年」(集英社 1900円+税)は一転、閉塞感漂う監視社会を描く反ユートピア小説だ。権力の暴走がもたらす悲劇は、我々が生きる現代社会とも不気味にリンクし、不安をかき立てられる。

 舞台は近未来の日本。大学生の生田目健司が、電車の事故で永沢亜紀という女性に助けられるところから物語は始まる。しかし、健司の名字を聞いた途端顔色を変えた亜紀は、「あんたなんか助けるんじゃなかった」という言葉を吐き捨てて去っていく。健司の父で元検察官の重治は、かつて国の中枢で権力をふるい、戦前のような警察による監視社会をつくり上げた人物だった。

「今、街の至るところに防犯カメラがあふれています。テレビでは犯罪解決に役立てられた良い報道しかされませんが、集められた個人情報は果たして適正に管理されているのか。そもそも、“防犯”カメラという呼び方でごまかされそうですが、すべての国民の生活を隅から隅までつかんでおける“監視システム”とも言い換えることができるはずです。その違和感に気づかないふりをしていては、監視社会の暴走が物語の中だけにはとどまらなくなる可能性も出てきます」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    WBCネトフリ独占批判に「一部の日本人」は歓喜のワケ 地方の苦しみに鈍感な大都市生活者

  2. 2

    嵐「最後の楽曲」好調の裏で起きた異変…ボイトレを続けた櫻井翔は歌声をキープ

  3. 3

    和久田麻由子は“女子御三家”の女子学院から東大へ 元NHKの先輩・膳場貴子と重なるキャリア

  4. 4

    伊原春樹監督との“壮絶確執”の前日譚 監督就任を知って絶望、引退が頭を過ぎった

  5. 5

    永田町で飛び交う高市首相の「健康不安」説…風邪の疑いで外交キャンセル、総理総裁の器にも疑問符

  1. 6

    WBCイタリア代表が「有名選手ゼロ」でも強いワケ 米国撃破で予選R1位突破、準決勝で侍Jと対戦も

  2. 7

    映画「国宝」のヒットから間髪入れず…体重13キロ減で挑んだ「ばけばけ」吉沢亮の役者魂

  3. 8

    文春にW不倫をスッパ抜かれた松本洋平文科相はなぜ更迭されないのか

  4. 9

    SEXスキャンダルで追い詰められると戦争で目くらまし…それは歴代米大統領の常套手段だ

  5. 10

    参政党はオンラインセミナーでもハチャメチャ…参加者の強烈質問に神谷代表が一問一答、反自民もアピール