【中国の正体】経済から軍事まで着々と手を打つ「習近平の中国」。その正体は?

公開日: 更新日:

 政治、経済、軍事いずれの分野でも強烈な存在感を発揮する中国。それはまた歴史上、一度も民主化を実現したことのない国だ。中国側は「西側の民主主義だけがすべてではない」「党の領導、依法治国、人民民主の三者統一が中国流だ」といった反論が返ってくるが、著者は①公正な選挙②司法の独立③言論・報道の自由――の3点が中国民主化のボトムラインだという。

 汚職追放キャンペーンが高官たちの政治闘争の道具なのは周知の通り。香港の中心部の中環(セントラル)地区を埋め尽くした「占中デモ」は中国共産党ひもつきの「普通選挙」への反発から起こった。グーグルが中国から引き揚げたり、「ニューヨーク・タイムズ」のサイトが英・中国語版とも当局にブロックされるのも日常茶飯だ。こんな国で「民主化」が本当に可能なのか。

 本書の著者は若手世代きっての中国ウオッチャーとして、鋭い批判を繰り出しつつも安易な反中論には流されない。実は中国の民主化を望んでいないのは共産党以上に米国ではないか、それほど米国は中国の潜在力を恐れているのではないかという視点は鋭利だ。(ダイヤモンド社 2400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  3. 3

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  4. 4

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  5. 5

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  1. 6

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  2. 7

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  3. 8

    維新のちょろまかし「国保逃れ」疑惑が早くも炎上急拡大! 地方議会でも糾弾や追及の動き

  4. 9

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  5. 10

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方