「人間臨終考」森達也氏

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「組織に入ると、主語が一人称でなくなってしまうんですよ」

 坂本竜馬、弁慶、頭山満、そしてガガーリン、ラスプーチン、江青ほか歴史上の人物18人の臨終に現代日本社会の問題を絡ませ、著者の妄想を駆使してパロディー仕立てにした作品である。

 例えば石川五右衛門は釜ゆでになったが、その残虐な刑を命令した秀吉は、すっかり忘れて夕食を食べていたことに。だが、どちらかというと〈横死〉した人物を取り上げたものが多く、森氏流のスルドイ社会批判の目を向けている。

「取り上げたのは以前に取材していた人が多いですね。どういう人なんだろうと興味を持っていたんですが、死ぬ間際ってだいたいその人の人生が凝縮されていますから」

 注目したいのは、ナチスの幹部で、逃亡先のブエノスアイレスで発見され、処刑されたアイヒマンの項だ。著者はアイヒマン裁判にオウム真理教の麻原彰晃の裁判を重ねて見る。かつて「A」でオウム真理教の信者の映画を撮って、加害者を擁護するのかと非難されたことがあるからだ。

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