「室町耽美抄 花鏡」海道龍一朗氏

公開日: 更新日:

 戦乱の世に生きた武将たちの壮烈な戦いと生きざまを描いてきた著者だが、本作で主人公に選んだのは芸の道に生きた4人の男たち。申楽を能という芸術に高めた世阿弥と、義父である世阿弥から能の奥義を授けられた金春禅竹。そして風狂の僧、一休宗純と、わび茶の創始者である村田珠光。彼らの生きた時代は、室町だ。

「時代小説が好きな人でも、この時代の人物に関しては名前を知っているぐらい、という人も多いのではないでしょうか。武田信玄や織田信長など、何を成し、どんな顔をしていて、どんな甲冑を身につけていたかまでが頭に浮かぶ時代小説のスターは数多い。それでは、足利義満はどうでしょうか。この人ほど業績と知名度が見合わない人はいません。これは室町時代全体にも言えることで、その背景には明治維新という大きな出来事が作用しているんです」

 天皇を中心とした国づくりを目指した明治政府にとって、後醍醐天皇と敵対した足利と室町は認めることのできない存在だった。そのため、歴史学の教育でも軽んじられ、当然この時代に関する研究者も少なくなった。


 その影響が今なお尾を引き、足利や室町を題材にした小説や時代劇は極端に少ない。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・藤川監督に「裸の王様」の懸念 選手&スタッフを驚愕させた「コーチいびり」

  2. 2

    JFAは森保一氏の“囲い込み”に必死 W杯後の「次の日本代表監督」のウワサが聞こえない謎解き

  3. 3

    TBS「ラヴィット!」の“テコ入れ”に不評の嵐! グダグダぶりを楽しむ独自性損失で視聴者離れ加速危機

  4. 4

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  5. 5

    元横綱照ノ富士「暴行事件」の一因に“大嫌いな白鵬” 2人の壮絶因縁に注目集まる

  1. 6

    小松菜奈&見上愛「区別がつかない説」についに終止符!2人の違いは鼻ピアスだった

  2. 7

    高市首相「私の悲願」やはり出まかせ…消費税減税「断念」に向け経済界・財務省・自民党・マスコミが包囲網

  3. 8

    阿部監督のせい?巨人「マエケン取り失敗」の深層 その独善的な振舞いは筒抜けだった

  4. 9

    《タニマチの同伴女性の太ももを触ったバカ》を2発殴打…元横綱照ノ富士に大甘処分のウラ側

  5. 10

    米国とイランが2週間の停戦合意も日本は存在感ゼロ…お粗末すぎた高市外交を識者「完全失敗」とバッサリ