心揺さぶる評伝特集

公開日: 更新日:

「回顧 入江泰吉の仕事」入江泰吉・写真/入江泰吉記念奈良市写真美術館・編

 入江泰吉という名前を知らなくても、彼が撮影した奈良の風景や迫力ある仏像の写真は観光ポスターにもよく使われているため、多くの人が一度は目にしたことがあるだろう。初期から晩年に至るまで、代表作はもちろん未発表作品を含む入江作品367点を、年代別に構成して彼の写真家としての生涯が俯瞰できる本書は、生誕110年の記念となる贅沢な一冊だ。

 どこか妖艶で哀愁のある文楽人形の首、故郷奈良・大和路の悠々とした風景や市井の人々の暮らし、仏の魂との邂逅を思わせる表情豊かな仏像など、ページをめくるごとに、日本の美の発見者として生きた入江の視線の確かさが際立つ。(光村推古書院 3800円+税)

【連載】ザッツエンターテインメント

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態