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「古い洋画と新しい邦画と」小林信彦著

 週刊文春の連載「本音を申せば」の単行本化18弾。タイトルの通り、戦前から現代に至るまでの映画をずらりと並べ、あの頃の、そして今という時代を語るエッセー集だ。

 米国の批評はおかしくなっているのではないかといい、ディズニーに席巻されている昨今の状況を嘆きつつ、1938年の「素晴らしき休日」のDVDを掘り出し、その面白さがどこにあるのかを熱く語ったかと思えば、是枝裕和監督の「海街diary」を描写しつつ良い映画を見たときに感じる幸せについて静かに語る。さらに学童疎開や敗戦を体験した世代として、どうしても語らずにはいられないという戦争の悲惨さに目を向ける。

 そして米国がイラクを攻撃した頃から感じはじめた「嫌な感じ」や、安保法が成立した日、9・19についても言及。暴君に支配され、マスコミも抑圧されている状況は、民主主義ではないと叫ぶ。

 映画、政治、女優と、自分のアンテナにひっかかったものを全部拾って率直に語る姿勢は爽快だ。(文藝春秋 1750円+税)

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