「男の詫び状」野坂昭如著

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 平成15年に脳血栓で倒れてから、長期にわたってリハビリのかたわら執筆を続け、昨年末に亡くなった野坂昭如。本書は、そんな野坂が「通販生活」の紙上で交友のあった著名人との間に交わしたやりとりを単行本化したもの。岸田今日子、妹尾河童、阿川佐和子吉永小百合、小沢昭一、永六輔、筒井康隆、横尾忠則らからの病気見舞いとして書かれた手紙に、野坂が闘病を感じさせないキレのある返答で応えていく。

 たびたび手紙に書かれるのは、野坂自身の戦争体験だ。「今の日本は危なっかしい。戦争がすぐそばにある状態。ぼくらには戦争を語り続ける義務がある」と憂い、「このまま行けばまた同じあやまちの繰り返しか」と戦争を伝え切れなかった昭和ヒトケタ世代の後ろめたさを語る。

 最後の手紙は、野坂の妻からすでに亡くなった野坂にあてて書かれたもの。酒が好きでちゃめっ気たっぷりな野坂の素顔、最後まで物書きとしてメッセージを残そうとした姿をつづっている。(文藝春秋 1600円+税)

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