「1974年のサマークリスマス」柳澤健著

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 かつて、TBSラジオの深夜放送「パックインミュージック」のパーソナリティーとして活躍したアナウンサー・林美雄がいた。金曜(木曜深夜)の午前3時から午前5時までという時間帯に、たいした期待もされないままスタートした番組は、熱狂的なリスナーに支えられた伝説の番組と化した。本書は、林が自身の目と耳と足で作り上げた番組の歴史とその時代に迫った意欲作だ。

「世の中には広く知られていないけれど素晴らしいものがある。本当にいいものは隠れているから、自分で探さないといけない」という林は、その言葉通りに自分がいいと思ったものだけを熱く伝えた。ユーミンを発掘し、「八月の濡れた砂」などの日本映画に火をつけ、公害反対運動やベトナム戦争など、自身が興味を持った話題は何でも電波に乗せた。

 番組終了の際には存続運動まで起こるほどの番組を作ったひとりのアナウンサーを通して、あの時代のメディアとそれを支えた人々の姿が見えてくる。(集英社 1600円+税)


【連載】週末に読みたいこの1冊

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