「神奈備」馳星周氏

公開日: 更新日:

大自然に翻弄される極限の人間心理

 山岳信仰の拠点である霊山・御嶽を舞台に、自然界の驚異と人間の極限の心理を描いた小説が誕生した。「神奈備」とは、神が棲まう山、の意味だ。

「もともとは、神様を求めて山に登る人と、神様を否定して山に登る人が、荒れ狂う天候の山をさまようという話を書きたいと思って。実は6年前から登山を始めたんです。下界にいたら絶対見られない神秘的な景色や、森林限界を越えて、山の稜線に出たときの解放感にハマってね。ひと月に4回登るときもあるほど」

 夜のネオンと紫煙が最も似合う作家のイメージだが、今作は大自然の猛威に翻弄される人間の弱さに肉薄している。

 主人公は17歳の芹沢潤。口を開けば罵詈雑言、虐待と搾取を繰り返す毒母・恭子との生活に絶望している。「神様、どうしてぼくは生まれてきたのですか」。拷問のような日々に、潤は自分の存在意義を問い続けてきた。その答えを求め、神の棲む山・御嶽を目指す。

 一方、御嶽の強力(御嶽信仰の信者の登山を援助する職)である松本孝は、低気圧が近づく中、山に入った潤を救出するため、単独で向かう。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状