「闇に香る嘘」下村敦史著

公開日: 更新日:

 69歳の村上は、透析が欠かせない孫の夏帆腎臓移植するため検査を受けるが不適合と診断されてしまう。村上の娘で一人で夏帆を育てる由香里から移植された腎臓は拒絶反応を起こし、1年半しかもたなかったのだ。夏帆を救いたい村上は、岩手の実家で老母と暮らす兄の竜彦を訪ね、腎臓を提供してほしいと頭を下げる。

 しかし、兄は適合検査さえ、かたくなに拒む。村上はそんな兄と話すうちに、次第に目の前の男が本当に自分の兄なのか疑念を抱き始める。戦後、満州で生き別れになった兄は中国残留孤児として27年前に帰国。母は兄と疑っていないが、41歳で盲目となった村上には確かめる術がない。

 第60回江戸川乱歩賞受賞作の長編ミステリー。(講談社 780円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり