「お寺さん崩壊」水月昭道著
地方寺院の住職であり、研究者でもある著者が、急激に進むお寺崩壊の実態を伝えるリポート。
お寺崩壊の原因のほとんどは、経営難。「坊主丸儲け」といわれるが、健全な財政環境を維持するには300軒の檀家が必要だという。4年前に潰れた350年の歴史を誇る福岡県の「松雲寺」(浄土真宗本願寺派)など、実際に崩壊したお寺の事情を明かしながら、お寺の収入や支出の内訳の詳細を紹介。生活ができないので、多くの住職が兼業をするが、休日は法事などで埋まり、過労死寸前だという。25年後までに宗教法人の約36%が消滅する可能性があると指摘する専門家もいる。
そのとき、弔いやお墓の問題はどうなるのか。決して人ごとではない問題の本質に迫る。(新潮社 760円+税)