心が萎えたとき読む本特集

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「苦しみを癒す『無頓着』のすすめ」樋野興夫著

 がん患者の心のケアを行う「がん哲学外来」を開設する医師が、死の苦しみから抜け出すための思考法を伝授する。

 がんは不治の病ではなくなりつつあるが、告知を受けた直後は大きなストレスに襲われ、“明日をも知れぬ”という精神状態に陥る。しかし、心の持ち方ひとつで“病気にかかっても病人にならない”ことは可能だという。その秘訣は、一瞬一瞬で目の前の行為に没頭し、集中力を高めることだ。

 散歩をしたら、道端の花びらの模様や太陽の光を浴びた木々の緑に目を凝らす。食事をしたら、食べ物の甘さや滑らかな舌触りに神経を研ぎ澄ます。こうして“今という瞬間”を感じ取るよう心がけていると、「なぜ自分だけこうなったのか」など、他者と比較して自分を苦しめる思考から解放される。体にもいい影響が期待できるそうだ。

 医師の資格を持つ末期がんの僧侶との対談も掲載。がん哲学の教えから、日々の悩みや不安に負けないヒントを学びたい。
(ブックマン社 1300円+税)

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