【難民文学】友人が27歳の愛人を分かち合おうと

公開日: 更新日:

 現在、ヨーロッパ各国で中東からの難民が大きな問題となっているが、70年ほど前には、ヨーロッパで大量の難民が発生し、その多くがアメリカ合衆国へ渡った。ナチス・ドイツに迫害されたユダヤ人たちである。

 本書は第2次大戦後間もない1952年、ニューヨークに暮らすユダヤ人たちの物語。主人公は、東ヨーロッパに暮らすユダヤ人の日常語であるイディッシュで創作を続ける作家。同朋内では知名度も高く信頼を寄せられている。その彼のもとにやってきたのが、株の相場師をやっている年長の友人。彼は妻とかつての愛人を同じ家に住まわせ、27歳の若い愛人とも付き合っているのだが、友人は主人公とその愛人を分かち合おうと提案してきた。戸惑ったものの、主人公は、いつしかその女にのめり込んでいく。しかし、彼女には暗い過去があり、主人公の心を大きく揺さぶる……。

 著者は異国のマイノリティーとして母語で小説を書き続け、大きな文学賞を獲得した。現在、ヨーロッパに暮らす難民たちから新しい文学が生まれることを期待させる一冊。

★先週のX本はコレでした

「こびとが打ち上げた小さなボール」
チョ・セヒ著
河出書房新社 1900円+税

【連載】書名のない書評「ゲンダイX本」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「左膝の半月板が割れ…」横綱・豊昇龍にまさかのアクシデントで稽古中止

  2. 2

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  3. 3

    「ラブホ密会」問題も何のその!小川晶前市長の超“人たらし”戦略 12日投開票の前橋市長選情勢

  4. 4

    アストロズ今井達也の西武への譲渡金ついに判明! NPB広報室から驚きの回答が

  5. 5

    菊池風磨のカウコン演出に不満噴出 SNS解禁でSTARTO社の課題はタレントのメンタルケアに

  1. 6

    「豊臣兄弟!」白石聖が大好評! 2026年の毎週日曜日は永野芽郁にとって“憂鬱の日”に

  2. 7

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  3. 8

    ロッテ前監督・吉井理人氏が大谷翔平を語る「アレを直せば、もっと良く、170kmくらい投げられる」

  4. 9

    松山千春がNHK紅白を「エコひいき」とバッサリ!歌手の“持ち時間”に求めた「平等」の正当性を考える

  5. 10

    オリックスへのトレードは中日が年俸の半分を肩代わりしてくれて実現した