バードウオッチングがしたくなる文庫図鑑

公開日: 更新日:

「日本のかわいい鳥 世界の綺麗な鳥」上田恵介著

 鳴き声の美しさで知られる「日本三鳴鳥」をすべて言えますか? ウグイスはすぐに浮かぶとして、あとの2羽は難しい。

 答えは、鳴き声が馬のいななきに聴こえるのでその名がついたコマドリと、渓流沿いの枯れ木などで独唱するオオルリ。

 鳴き声だけでなく、顔の部分が赤銅色のコマドリも、その名の通り体全体が瑠璃色のグラデーションで彩られたオオルリも、容姿も美しく、天から二物を与えられた例だ。

 本書は、そんな日本の可愛い鳥から、芸術品のような世界各地の美しい鳥まで、135種を紹介するビジュアル文庫。

 シジュウカラのように公園などでよく見かける身近な鳥も、じっくりと観察してみると、なんとも愛らしい。一方で、低い山の林に住むのだが警戒心が強くめったに見ることができない「ヤマドリ」など、バードウオッチング心をかき立てる鳥まで、美しい写真で紹介。

 かつては山地の深い森でしか出合うことがなかったが、近年は分布が広がっているキビタキや、住宅地や市街地の公園などにも群れで出現するヒレンジャクなど、見ているうちに鳥に興味がなかった人も、その魅力に気づかされるに違いない。

 さらに、ビロードのようなレース状の羽毛マントを広げて求愛するニューギニアのアオフウチョウや、長い2本の尾にラケット状の羽がついたペルーのオナガラケットハチドリ、翡翠色の宝石のように美しさと気高さを感じるグアテマラの国鳥「ケツァール」など、世界にはとても自然の造形物とは思えない息をのむような美しさの鳥たちがいる。

 旅先にも携行できる文庫サイズで、バードウオッチングの参考書に最適。鳥の鳴き声を耳にしたら、あたりの木々に目を凝らしてみよう。きっとこれまでと違う世界が開けてくるに違いない。(大和書房 780円+税)

【連載】発掘おもしろ図鑑

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  2. 2

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    安倍元首相銃撃裁判 審理前から山上徹也被告の判決日が決まっている理由

  5. 5

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  1. 6

    マツコ・デラックスがSMAP木村拓哉と顔を合わせた千葉県立犢橋高校とは? かつて牧場だった場所に…

  2. 7

    自民党は戦々恐々…公明党「連立離脱」なら次の衆院選で93人が落選危機

  3. 8

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  4. 9

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の抑え起用に太鼓判も…上原浩治氏と橋本清氏が口を揃える「不安要素」