「人生なんてくそくらえ」丸山健二著
「本物の人生」とは何かを考察した孤高の作家による人生論。
冒頭、「そもそもこの世におけるおのれのこうした形の存在をどう思うか」を読者に問う。子どもをこの世に送り出した親の真意を疑い、「親が在っての自分という発想は、国家が在っての国民というとんでもない答えに直結する最大の悪」と説く。家庭環境がどうであれ、学業を終えたら速やかに実家を離れよと勧める。実家を離脱する行為は、脱皮と酷似しており、苦痛が伴うが、「人生なんてくそくらえ!」と怒鳴れば不思議と腹が決まるはずだと。
その他、国家とは何か、働くことの意味、そして恋愛や性まで、若者らに向けて、この世の常識を疑い、自分自身の人生を歩むための思索の道筋を示す。(朝日新聞出版 560円+税)