物価高なのに「1品1000円超」の高級冷凍食品が人気? 松屋銀座では客単価1万円以上、40代にも広がる需要
食品の値上げが続く中、1品1000円を超える冷凍食品の展開が相次いでいる。百貨店のおかずから、名店の料理、ホテルの一皿まで、その選択肢は幅広い。物価高で節約も意識される今、なぜ高級冷食が注目されるのか。
高島屋は今年9月、初のオリジナル冷凍惣菜ブランド「百味彩菜」を発売した。中華惣菜に続き、10月発売の洋惣菜として発表した国産ハンバーグは、和風、デミグラス、トマトの各ソースが1080円。いずれも電子レンジ調理に対応する。
同社が狙うのは、特別な日のごちそうだけではない。「365日の食卓を支える高島屋」をコンセプトに、日常的に選ばれる商品を目指している。バイヤーの商品企画力と、外食事業を担うグループ企業の調理技術を組み合わせ、冷凍から解凍・加熱までを見据えて味を設計。レンジで温めた後のおいしさにこだわったという。
百貨店以外の動きもある。三井不動産グループの冷凍グルメ通販「mitaseru(ミタセル)」は、今年5月にミート矢澤の「黒毛和牛100%フレッシュハンバーグ」を発売。現在の公式通販価格は1836円だ。今年4月の発表では、昨年度の売上高が前年比300%超になったとしている。
帝国ホテルキッチンは11月、冷凍の「帝国ホテル キッシュ ロレーヌ」(170グラム、1620円)を発売予定。電子レンジで調理でき、朝食や昼食のメイン、夕食ではワインと楽しむ一品として提案する。
松屋銀座の「GINZA FROZEN GOURMET」も、名店の味を家庭へ届けるブランドだ。銀座吉澤の「松阪牛シルクハンバーグステーキ」1620円、銀座日東コーナー1948の「ロールキャベツトマトソース」2484円などを展開している。10月には、雑誌「家庭画報」と共同企画し、銀座の名店の料理を詰め合わせた冷凍セットも発売した。
こうした高価格帯の商品を、実際にはどんな人が買っているのか。松屋銀座では、生鮮食品などとの買い回りより、冷凍食品を目当てに来る「目的買い」が多く、客単価は1万円以上の傾向にあるという。1商品ではなく、1回の買い物の金額だ。ただし、購入単価の上昇には、商品自体の値上がりも影響している。
自宅用とギフト用の割合は、ほぼ半々。当初は60代の富裕層が中心だったが、最近は40代にもギフト需要が増えているという。
「自宅用に食べていただき、納得の上でギフトに使用するお客様が増えてきています」(松屋銀座冷凍食品担当者)
担当者は、安価な冷凍食品と高級冷凍食品の「二極化」というより、用途に応じた「使い分け」と捉えている。弁当のおかずなどに加え、自宅でのパーティーやもてなしにも使える冷凍グルメのおいしさが、コロナ禍以降に認識されてきたと感じているそうだ。その背景に挙げるのが、急速冷凍機の性能向上と普及である。ミタセルも、専用キッチンで専門シェフが手作りし、調理後すぐに急速凍結する製法を説明している。
冷凍技術の活用は、名店の料理を家庭に届けるだけにとどまらない。松屋は、規格外農産物を特殊なスチーム加工と急速冷凍によって高付加価値化する新事業も計画している。
産地に近い場所で「ソフトスチーム加工」を施し、急速冷凍して保管することで、農産物を無駄なく流通させることを目指す。松屋はレストランやホテル、パティスリーなどへの販路開拓を担い、将来は海外への輸出も視野に入れるという。
「日本の農業生産物の3割近くが規格外となり、それが農家さんのマネタイズを高めることの課題になっている。全国の農家さん、行政にアプローチを行い、精査しつつ、この事業を具現化していく予定です」(同担当者)
冷凍食品の需要と役割も大きくかわってきた。(※価格はすべて税込み)
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